昨年から今年にかけて、MetaのOrion、XREAL One、NTTコノキューデバイスのMiRZAなど、国内・国外問わず注目のAR/XRグラスが続々と発表・発売されています。
本記事では注目のグラスの特徴や実機レビューを、随時更新でまとめていきます!
Meta
Orion
Orionは2024年9月26日(日本時間)に開催されたMeta社の開発者会議「Meta Connect 2024」にて、発表されました。
主な特徴
1.約70度という広い視野角
従来のARグラスの視野角は最大でも50度前後となっていますが、Orionは約70度と、ARグラスの中でも最大クラスの視野角になっています。
2.EMG(筋電図)信号を読み取るリストバンド
Orionは音声、視線、ハンドトラッキングに加え、EMG(筋電図)信号による操作を組み合わせています。腕を身体の横におろした状態でも、少し手を動かすだけで楽にスワイプ、クリック、スクロールなどの操作が可能になります。
暗い環境や公共の場で、センサーの視界に手がなくても操作できることも従来のハンドトラッキングとの大きな違いです。
3.100g以下の軽量で屋外でも使用可能
Orionは軽量なマグネシウムフレームなどの独自材料と革新的な熱管理技術の採用、そしてセンサーとカメラの小型化によって、本体は100g以下と軽量でコンパクトに保たれています。
また、ワイヤレスのコンピュートパックが付属し、アプリのロジック処理はコンピュートパックが行うため、本体が軽量化されることに加え、ケーブルの煩わしさもなく操作することができます。
4.MetaAI搭載
OrionにはスマートアシスタントMeta AIが搭載され、Orionを通して見えているものをAIが把握し、レシピなどの提案や操作の補助をすることができます。
発売日・価格
現段階では限られた関係者向けのプロトタイプであり、このまま発売されることはありませんが、消費者向けに展開することを視野に入れ開発が進められています。
発売日、価格も現段階では明確に発表されていません。
注目ポイント
軽量で移動しながら使用でき、広い視野角を持つOrionは、これまでARグラスが超えられなかった障壁を乗り越え、日常的に活用できるようになる可能性があります。
またMetaAIとの連携により、ハンズフリーで、適切な夕飯のレシピを提案を受ける、目的地までのガイドを受けるなど、さまざまな場面でAIによるアシスタントを活用することができます。
ザッカーバーグCEOはOrionを「タイムマシンのようなもの」と表現しており、私たちの未来の生活や働き方を大きく変える可能性があります。
orionの特徴・詳細についてのまとめはこちら!
XREAL
XREAL One
XREAL Oneは12月11日(水)に開催されたXR Kaigi 2024にて発表されました。
主な特徴
世界初(※)、自社開発の空間コンピューティングチップを搭載
これまでのARグラスは他社と提携し、他社製のチップが搭載されることが一般的でしたが、XREAL OneにはAR業界初の自社開発空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載されています。
これにより、グラス本体でのネイティブ3DoFを用いた固定大画面体験が可能となり、最低3msの低遅延が実現されています。またユーザーはグラス本体で直接モード切替ができ、よりシンプルな操作性となっています。
※世界初に関して注釈
・XREAL 調べ
・調査年月(2024年12月など)
・世界のARグラス業界として
発売日・価格
予約日程:2024年12月11日(水)15:00~2025年1月16日(木)23:59
販売・出荷開始日:2025年1月17日(金)
価格:XREAL One:69,980円(税込)
予約ページ:https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-one
XREAL One + XREAL Hub: 72,960円(税込)
予約ページ:https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-one-hub-bundle
取り扱い販売店(https://www.xreal.com/jp/air/stores/)
編集部でも体験し次第レビューを掲載します!
3D空間撮影カメラを備えた最新ARコンピューティングデバイス「XREAL Beam Pro」についてのレビューはこちら!
【実機レビュー】空間コンピューティングデバイス「XREAL Beam Pro」で気軽にARグラス接続&3Dビデオ撮影をしてみた!
Rokid
Rokid AR Spatial(Rokid Max 2&Rokid Station 2)
「Rokid AR Spatial」は中国Rokid(霊伴科技)社から発売された、ARグラス「Rokid Max 2」とコントローラー「Rokid Station 2」がセットになったデバイスです。
2024年4月20日に発表され、アメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」にて90万ドル(約1億4200万円)以上の調達に成功し、開発・発売されました。
当初は「Rokid AR Lite」という名称でリリースされましたが、2024年12月25日に「Rokid AR Spatial」に改称されることが発表されました。
We are pleased to share that Rokid AR Lite has been renamed Rokid AR Spatial. The word “Lite” often implies an entry-level product, whereas this device is currently the most advanced consumer-grade product in the Rokid lineup. The name “Spatial” better reflects its standout…
— Rokid Global (@RokidGlobal) December 25, 2024
主な特徴
300インチ、32:9のウルトラワイド画面をスマートフォンなどからワイヤレスでキャストできる点がアピールされています。自宅や移動中に映画を見る、ゲームを楽しむなど主に個人利用が想定されているようです。
またコントローラーには物理ボタンはなく、指によるタッチ操作で、パソコンのトラックパッドのように操作することが可能です。
発売日・価格
2024年10月出荷開予定でしたが、遅延が発生し、「Kickstarter」支援者へは12月より発送が開始されているようです。(2025年1月現在の情報)
中国公式サイト:https://arlite.rokid.com/
「Rokid Max Pro」デモ機のレビューはこちら!
Snap
Spectacles(第5世代)
2024年9月に開催された開発者会議Snap Partner Summit 2024にて、「Spectacles」の第5世代となるモデルが発表されました。前モデルである第4世代は2021年5月に発表されており、約3年半ぶりの新モデル発表となります。
主な特徴
これまでのSpectaclesは写真撮影を目的としたデバイスでしたが、第5世代からは表示機能やセンサーが搭載されたシリーズ発のARグラスとなっています。
独自開発したOS「Snap OS」で駆動し、手のひらの上にメインメニューを開くユーザーインターフェースも特徴的です。
OpenAIとの提携により、クラウドホスト型マルチモーダルAIモデルが搭載され、音声から3Dモデルを生成するアプリ「Imagine」などが活用できます。
Spectaclesは「Shared」をコンセプトにしていることもあり、公式サイトやコンセプト動画では友人と一緒に3Dコンテンツを楽しむ様子などが描かれています。
公式サイト:https://www.spectacles.com/
公式リリース:https://newsroom.snap.com/sps-2024-spectacles-snapos?lang=en-US
発売日・価格
2024年9月の発表時点では開発者向けにのみ提供されており、日本での発売は不明となっています。
【国内】NTTコノキューデバイス
MiRZA
MiRZAはNTTコノキューデバイスから2024年10月に発売された、軽量でワイヤレス、高性能なXRグラスです。
主な特徴
クアルコム社のチップセットSnapdragon AR2 Gen 1を世界ではじめて搭載(NTTコノキューデバイス調査)した、スマートフォンと無線接続する軽量なメガネ型デザインのデバイスです。
グラス内でのソフト処理を分散させることができるため、スマートフォンと無線で接続し操作することが可能になりました。
XRグラスのデメリットであるケーブル接続をなくし、移動を伴うようなシーンでも快適に使用できます。
公式サイトでは法人・個人問わずのユースケースが紹介されていますが、価格が税込248,000円からと少し高めになっており、しばらくはビジネスユースがメインとなりそうです。
発売日・購入方法
2024年10月16日に発売され、公式サイトでの購入に加え、ドコモの家電レンタルサービスkikitoでもレンタルが可能です。
公式サイト:https://www.devices.nttqonoq.com/mirza
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000110582.html
kikitoレンタルページ:https://rental.kikito.docomo.ne.jp/rental/devices/QN000100/
MiRZAのレビュー記事はこちら!
【国内】DynaBook
dynaEdge XR1
「dynaEdge XR1」はDynabook株式会社から2024年12月5日に発表された両眼透過型XR グラスです。
主な特徴
製造・メンテナンス・建設・物流業界などでは単眼タイプのグラスが使われることもあり、同社からは2018 年に、単眼型ウェアラブルデバイス「インテリジェントビューア AR100」も発売されていました。dynaEdge XR1は両眼タイプの透過型 XR グラスとすることで、単眼タイプの AR グラスと比較し、仮想 UI表示領域を大幅に改善されています。
主にビジネスユースが想定されていますが、今後は博物館や美術館、街歩き、スポーツ観戦での AR ガイド、コンテンツ表示も検討されているようです。
発売日・購入方法
まだ販売ページ等は公開されていませんが、「ビジネス共創パートナープログラム」に申込むことが可能になっています。
価格:オープン価格
発売時期:2025 年春(予定)
WEB サイト:https://dynabook.com/solution/xr/index.html
実機レビュー
「TOKYO DIGICONX」で一足早く実機を体験させていただきました!
東京ビックサイトで開催中の、東京都主催のXR展示会 #TOKYODIGICONX に参加してきました!
Dynabookのブースでは今年の春に発売予定の「dynaEdge XR1」が展示されており、実機を試させていただきました🙌… pic.twitter.com/KTQzN9dsZz
— WebARくまさん 【ARコンテスト開催中!】palan広報 (@WebAR_kuma) January 10, 2025
【国内】Cellid
東京都港区に本社を置く、次世代デバイスのARグラス用ディスプレイおよび空間認識エンジンの開発を手がけるCellid株式会社からARグラスのリファレンスデザイン(検証用モデル)が2024年11月に発表されました。
主な特徴
このARグラスに搭載されているCellidが開発したウェイブガイド(ARグラス用ディスプレイレンズ)は、一般的なメガネレンズと同等の薄さと軽さを保ちながら、鮮やかなフルカラー表現を実現できるものです。
この技術は、世界最大のディスプレイ学会であるThe Society for Information Display(SID)から「2024 Display Component of the Year Award」を受賞しており、日本企業としての受賞はSony、東レ、ジャパンディスプレイ等の大企業に次ぐ受賞となるそうです。
代表取締役社長CEO白神賢氏のコメントでは、「この革新的なデバイスは、生活や仕事のあり方を一変させる可能性を秘めています。」と述べており、ビジネスだけではなく個人利用も想定されていると思われます。
発売日・価格
2025年1月時点では発売日・価格などは明らかになっていません。
公式リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000030718.html
まとめ
現時点で発表されいている注目のAR/XRグラスについてまとめました。本記事を執筆している2025/01/10はアメリカでは世界最大級のテックイベント「CES2025」が開催されており、そちらでも各国の注目デバイスが発表されています。
どのデバイスも従来のAR/XRグラスの課題であった重量や視野角、コードの煩わしさなどを解消し、日常的に活用できるようなレベルに近づいてきています。
続報が入り次第更新していきます!
palanについて
本メディアを運営するpalanでは、AR/XRグラス向けコンテンツ開発も行っています。
観光AIガイド「SPATIAL GUIDES(スペーシャルガイド)」
SPATIAL GUIDES(スペーシャルガイド)とは、XREAL Air 2 Ultraで体験できる観光AIガイドです。拡張現実(AR) × 人工知能(AI)を掛け合わせることで観光業界の人材不足を解決します。XREALとARを組み合わせることで、現実世界により自然に溶け込んだガイド体験を提供します。
詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000134.000070978.html
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