Apple Vision Proビジネス活用のメリット・デメリットとは?具体的にご紹介

今年6月に日本国内での発売が開始された「Apple Vision Pro」。 高画質なディスプレイや高い処理能力、直感的な操作性などを兼ね備えた革新的なデバイスであり、ビジネスでの活用を検討している方も多いかと思います。

Apple Vision Proを活用することにはメリットも大きいですが、約60万円と高額なこともあり、購入する前にデメリット・懸念事項も知っておきたいという方もいらっしゃるでしょう。

この記事ではApple Vision Proをビジネス活用する際のメリット・デメリットを具体的にご紹介します。

お役立ち資料

Apple Vision Proの概要、ビジネスに活用するメリットなどについてまとめた資料をご用意しました。

Apple Vision Proについて、より理解を深めたい方は以下よりダウンロードください。

Apple Vision Proとは?

Apple Vision Proとは、2023年6月にApple社が発表・2024年2月に発売開始した、史上初の「空間コンピューティングデバイス」です。

従来のディスプレイのような平面的なインターフェースではなく、三次元の空間そのものをインターフェースとして利用するデバイスです。

見た目はゴーグルのような目を覆う形で、MicrosoftのHoloLens、MetaのMeta QuestなどのVRヘッドセット/ゴーグルに近しい形状ですが、Appleは「空間コンピューティングデバイス」という呼称を使用しており、これまでにない革新的なデバイスであることを提唱しています。

Apple Vision Proの特徴

Apple Vision Proにはさまざまな機能や特徴がありますが、大きな特徴はこの3つです。

特徴①圧倒的な没入感、シームレスな体験ができる

Apple Vision Proの最大の特徴は、なんといっても圧倒的な没入感を得られることです。

これまで他のデバイスでは再現できなかった「その場にいるような感覚」を、高い精度で再現することができるデバイスとなっています。

特徴②高い処理能力と鮮明な映像表現

Apple社が独自開発した高性能チップ「M2」を搭載しており、従来のMRデバイスよりも電力効率よく高い処理能力を実現している点も特徴として挙げられます。

空間全体がディスプレイになり、表示領域が広がったことや、3D映像による奥行きのある表現ができるようになったことで、表示可能なグラフィックの容量も大きくなりますが、それでも問題なく動作するような高い処理能力を持ったデバイスとなっています。

参考:https://www.apple.com/jp/newsroom/2022/06/apple-unveils-m2-with-breakthrough-performance-and-capabilities/

特徴③直感的な操作性

VRゴーグル・MRデバイスには手に持ったコントローラーを使って操作するもの、手や音声、視線などを認識して操作するものなどがあります。

Apple Vision Proは手や指の動きを検知するカメラを搭載しており、コントローラーなしで直感的に操作することができます。

他のVRゴーグル・MRデバイスでもコントローラーなしで操作できるものもありますが、Apple Vision Proは操作性の高さで他のデバイスと一線を画しています。

Apple Vision Proをビジネスに活用するメリット

Apple Vision Proはビジネスのあり方を大きく変える可能性を秘めたデバイスです。そのメリットについて紹介していきます。

顧客へ高い体験価値を提供できる

従来のデバイスよりも映像・操作性のクオリティが格段に高く、より高い体験価値を生み出します。

例えばオンラインショールームの場合、これまでは3Dモデルで商品やショールーム内を再現したとしてもデバイス、ディスプレイの性能に制限があり、実際にショールームを訪れた場合と同じような体験を提供するのは困難でした。

Apple Vision Proを活用すると、高い処理能力によりデータ容量の多い精巧な3Dモデルであっても問題なく表現ができ、実際に手に取ったような体験ができます。

GUCCI Apple Vision Proアプリ:https://apps.apple.com/jp/app/gucci/id334876990?platform=vision

大幅なコストカット

Apple Vision Proは空間を使ってその場にいるようなコミュニケーションが取れるため、これまでオフラインでしか行えなかった展示、イベント、接客・サポート業務などがオンラインで行えるようになります。

イベント設営・運営などにかかっていたコスト、対応時間、人件費などを大幅カットすることができます。

生産性の大幅向上

Apple Vision Proは顧客向けに活用するだけでなく、社内の研修・設計・デモンストレーションなどにも活用できます。

FaceTimeなどのアプリで空間全体を活用してオンライン会議ができ、その場にいるかのようなコミュニケーションができます。

直接人が出向いて行っていた研修を代替したり、複雑な模型やシュミレーションもApple Vision Proで構築することで、人件費や構築コストを削減することができます。

ブランディング

Apple Vision Proを早い段階から取り入れることで、革新的なテクノロジーを積極的に取り入れる企業であることを示すことができます。 顧客や投資家から高い評価を得られるだけでなく、競合との差別化にもつながります。

Apple Vision Proをビジネスに活用するデメリット

Apple Vision Proは、高い性能を備えた革新的なツールですが、高い費用以外にもビジネスで導入する前に考慮すべき懸念事項とリスクがいくつかあります。

重いため長時間のコンテンツには不向き

Apple Vision Proは高い映像・音響クオリティを持つため、ユーザーへ没入感の得られるコンテンツを開発したいと考える方も多いかと思います。

Appleからも映画やドキュメンタリーなどのコンテンツも順次リリースされています。

参考:https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/07/new-apple-immersive-video-series-and-films-premiere-on-vision-pro/

しかしデバイス本体の重量は600〜650 g(ライトシーリングとヘッドバンドの構成によって異なる)、個別のバッテリーの重量は353gで合わせて953〜1,003gとかなり重く、本体は500mlのペットボトル以上、バッテリーも合わせると1リットルの牛乳パック1本と同程度となります。

自宅で映画を楽しむなどであれば自由な姿勢が取れるため、重くとも姿勢を調整できますが、施設内などパブリックな場所で着け続けることは難しいでしょう。

バッテリー持続時間が2時間

現在バッテリーの持続時間は2時間となっているため、2時間以上の連続したコンテンツはもちろん、1回の体験は2時間以下であっても累計の使用時間が2時間を超えた場合、都度の充電が必要になります。

充電しながらなら一日中使用可能との発表はあるものの、電源に接続できない環境などでは連続して使いつづけることが難しくなっています。

参考:https://support.apple.com/ja-jp/117740

個人ごとの視線の設定が必要

Apple Vision Proは操作を始める前に視線の設定が必要になります。 Appleは「視線の設定」と呼んでいますが、一般的には「キャリブレーション(Calibration)」とも呼ばれています。

「キャリブレーション」とは「調整」「較正」という意味で、Apple Vision Proではアイトラッキングを正確に行うために目の特徴に合わせて視点のブレなどが起きないよう調整することを指します。

この設定により、少しの視線の動きも高精度に捉え、スムーズな操作性を実現することができますが、1回あたり5〜10分かかり、さらには操作説明・コンテンツの説明なども合わせると導入だけで10〜15分かかってしまう場合もあります。

アイトラッキングを使用しないコンテンツも設計することはできますが、精度の高いアイトラッキングはApple Vision Proの持ち味のひとつでもあるため、使用するコンテンツに比べるとやや表現に制限が生まれてしまいます。

逆に言えば、きちんと調整することができれば、他のデバイスにない体験が可能です。

参考:https://support.apple.com/ja-jp/guide/apple-vision-pro/tanf67b02683/1.0/visionos/1.0

屋外では管理下以外では使えない、レンズ焼付きなども起こる

Apple Vision Proはパススルー式であり、装着していても現実世界の様子を確認することができます。 しかしデバイスを着けていない状態に比べると視野も狭まり、Apple Vision Proの没入感の高さによって周囲の様子を把握できなくなるため、管理下の環境以外の屋外で使用することは公式にも推奨されていません。

参考:https://support.apple.com/ja-jp/118507

またレンズを太陽光に当てることで焼き付きが発生する可能性があります。 レンズの焼き付きとは、強い光を長時間レンズに当て続けることで、レンズが虫眼鏡のように働き、集光された太陽光が一点に集中することで、レンズが変色したり、劣化したりする状態を指します。

屋外のレジャー施設や街中などでのイベントには不向きといえます。

13歳以上対象のため、子供向けの施策ができない

Apple公式サイトに「使用は13歳以上の方に限られます。」との記述があり、12歳以下は使用できなくなっています。

参考:https://www.apple.com/jp/apple-vision-pro/

アクションゲームや学習コンテンツ、動画などの子供向けコンテンツをApple Vision Proを使用して提供することは難しくなっています。

一方Meta Quest 2,Meta Quest 3は以前は13歳以上が対象でしたが、2023年に対象年齢が引き下げられ、10〜12歳の子どもであっても保護者が管理するアカウントであれば使用できるようになりました。

参考:https://www.meta.com/jp/quest/parent-info/

PlayStation VR2など他のデバイスでも対象年齢は12〜13歳に設定されていることが多く、Apple Vision Proだけが特別子供向けに使用できないというわけではありません。 https://www.playstation.com/ja-jp/ps-vr2/

まとめ

Apple Vision Proは顧客へ高い体験価値を提供できるなど、ビジネスに活用するメリットの大きいデバイスですが、ビジネスを検討するためには注意点があります。

使用時間や動き、年齢にいくつか制限はあるものの、大人がビジネスで使用する場合ではそれほど問題ではありません。

Apple Vision Proは革新的なデバイスであり、大抵のケースではこれらのデメリット以上に得られるメリットが上回ると思われます。

圧倒的な没入感、シームレスな体験ができることなどにより、ビジネスの幅を広げる可能性を持ったデバイスです。

Apple Vision Proのメリット・デメリットを理解し、ビジネス活用のヒントにしていただけたのなら幸いです。

お役立ち資料

Apple Vision Proの概要、ビジネスに活用するメリットなどについてまとめた資料をご用意しました。 Apple Vision Proについて、より理解を深めたい方は以下よりダウンロードください。

palanについて

本メディアの運営企業である株式会社palanでは、2024年2月のApple Vision Proの発売以前から、国内でもいち早く調査・開発を続けています。

自分で作成したコンテンツをApple Vision Proでも体験できる「palanAR for Vision」をはじめ、Apple Vision Pro対応アプリの開発も行なっています。

palanAR for Vision :https://palan.co.jp/news/apple_vision_pro_taiou

Apple Vision Pro対応コンテンツ・新規事業開発 : https://studio.palanar.com/palanar-vision-studio

アプリの開発はもちろん、Apple Vision Proを使った案件のご相談ベースでも対応可能です。

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お問い合わせ先:https://studio.palanar.com/contact

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