Apple Vision Proは結局何がすごいの?実機を触ってわかったこと

発売されてから連日話題を呼んでいるApple Vision Pro。日本では未発売なものの、国内のディベロッパーからリリースされるアプリも出てきており、盛り上がりを見せています。
本誌でもApple Vision Proを体験する機会がありましたので、実際に触れた感想をお伝えします。

※本記事を執筆するにあたり使用したデバイスは、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度申請済です。

外観・装着感は?

外観は PVなどで受ける印象と変わりませんが、バッテリーがやや大きい印象です。スマートフォンの容量が大きめなモバイルバッテリーに近い重量感を持っています。
Meta Quest 3と簡単に比較したところ、少しだけ小さいですが、装着時の重量感はあまり変わりませんでした。

最近のヘッドセットでは電源の接続部がUSB Type-Cになることが主流ですが、Apple Vision Proでは見慣れない形をしていました。おそらく独自規格によるものでしょう。回してしっかりと固定するタイプのため、ケーブルに腕があたっても外れる心配はありません。

装着感

額と後頭部で支える構造ですが、ダイアルを回して締めていくため調節しやすく、安定感もあります。
後頭部のベルト位置はヘッドセットと並行ではなく、やや上の位置に当てるとより安定します。軽く動いただけではズレることはありません。
構造上、重量バランスが前によっていますが、PICO 4やMeta Quest 3などのヘッドセットで慣れている筆者は気になりませんでした。(逆にいうと、本デバイスで初めてヘッドセットを装着する方は少し気になる重さかもしれません)

気になる点は2つ。一つ目は固定が頭部を締め付ける形であること。圧迫感がそれなりにあるので、長時間つけた場合に頭痛につながるなどの影響がある可能性があります。
二つ目はバッテリーです。有線接続されているために、持ち運びや受け渡しの際は細心の注意が必要です。取り回しが悪くなってしまうのもありますが、落としそうになったり、引っ掛けてしまったりといったトラブルもありました。

様々なアプリを体験!

今回は国内企業を中心に、アプリやコンテンツを体験していきました。

SunnyTune

株式会社MESONがリリースした天気アプリです。世界中の天気を見ることができ、それに合わせてドームの環境が変化していきます。シンプルで落ち着いたものになっており、インテリアのような使い方もできそうです。

Ninja Gaze Typing

「Ninja Gaze Typing」はGraffity株式会社が開発したタイピングゲームです。視線を使って入力する特徴を活かした作りになっています。
立体的な背景も合わせて楽しめるアプリです。

STYLY

株式会社STYLYが提供するアプリです。様々なコンテンツを体験することができます。
オフィス内に鳩を出した時の「室内に鳩がいる」という感覚が新鮮でした。モデルは近づくと薄くなってしまいますが、細かいところまで見ることができます。

Meet Japan!

TOPPAN株式会社の「Meet Japan!」では目の前に巨大スクリーンが現れます。スクリーンは平面または湾曲させた表示が可能。スクリーンの大きさもさることながら、Apple Vision Proの解像度が高いため、非常に高繊細な映像が楽しめます。

ロイと魔法の森

「ロイと魔法の森」は、curiosity株式会社が提供するコンテンツです。 「ロイと魔法の森」は色々なハードで展開されていますが、Apple Vision Proでは端末の解像度やトラッキング精度が高く、臨場感が増していました。

Puzzling Places

立体的なパズルを解いていくゲームです。アイトラッキングを使ってオブジェクトを回転させ、適した場所にピースを移動させていきます。近づけるとカチッと嵌め込むことができるため、ストレスがなく夢中になってプレイができます。

palanAR for Vision

「palanAR for Vision」では、本メディアの運営会社である株式会社palanが提供するサービス「palanAR」で制作したコンテンツをアプリで体験できます。デモコンテンツでは、恐竜標本や、展示会ブースの表示が可能です。

また、palanARはWebサービスのため、Apple Vision Proでも操作することができました。作成したコンテンツのidを「palanAR for Vision」に打ち込むことで、すぐに体験することが可能です。

空間ビデオ再生

アプリではありませんが、空間ビデオも体験できました。空間ビデオ自体の撮影はApple Vision ProやiPhone 15 Proを使用することで可能です。
例えるなら、実空間の中にぽっかりと別の世界やVRの世界が繋がるような感覚です。様々なものを撮影・再生してみたいと思える体験でした。

何がすごいのか?「空間コンピューティング」を掲げる意味

Apple Vision Proは「空間コンピューティング」の名の通り、PCのように様々なアプリを並行して立ち上げ、画面上に配置することが可能です。

筆者も体験の際に、SafariやSlackをはじめとして色々なアプリのウインドウを展開してみることができました。さらに、Macと連携することで、Macの画面を空間上に表示して作業もできます。(一度設定してしまえば、Macを見るだけで接続のボタンが表示されます。)
使い勝手はPCに近いものと言え、AR/VRといった領域で出ていた既存デバイスとは体験の考え方が異なってきます。これこそが「空間コンピューティング」と位置付けられた理由でしょう。
そしてMacの連携やiPhoneによる3Dビデオ撮影など、Appleの製品を持っている方がより強い恩恵を得ることができます。

また、Apple Vision ProはMac連携やアイトラッキングの観点から、非常にパーソナライズされたデバイスでもあります。
Apple IDを連携していない人が端末を借りて使用した場合、自分のMacを見て接続しようとした場合でも、Apple IDを連携した本来の持ち主のMacに接続してしまったり、アイトラッキングの精度が悪く、設定をし直す必要もあります。

値段の高さや、パーソナライズなどが障壁となり、普及に時間がかかるかもしれません。しかし、世代を重ねていくごとに「空間コンピューティング」の方向性が強化されていくと考えられるため、今後が楽しみなデバイスです。

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