2024年AR業界 注目ニュース・トレンドまとめ・2025年の展望

今年もAR/XR業界では注目グラスの発売やプラットフォームのアップデートなど、注目ニュースが目白押しの1年でした。
本記事では、注目のARニュースを月ごとにまとめてご紹介します!

Table of Contents

1月

XREAL ARグラス「XREAL Air 2 Ultra」を発表

1月8日に発表された「XREAL Air 2 Ultra」は、リリースに「手頃で充実な機能を搭載した空間コンピューティングの未来を活性化させる、開発者向けARグラス」とあるように、¥99,800-(税込)という価格ながら、デュアル3D環境センサー、XREAL独自の先進的な光学エンジンが搭載されているなど、小型で快適でありながら高性能なグラスとなっています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000097.000070978.html

グラスメーカーの大型資金調達が続く

Magic Leap(5億9000万ドル)、Rokid(7000万ドル)、XREAL(6000万ドル)などグラスメーカー各社の大型資金調達が続きました。

Apple Vision Pro 発売日発表

Appleが現地時間1月8日、初の“空間コンピュータ”である「Apple Vision Pro」を2月2日にアメリカで発売すると発表しました。ついに発売日が確定し、AR業界に限らずXR業界全体で大きく話題となりました。また性能や最安価の256GBモデルでも約51万円からという価格も注目を集めました。

2月

Rokid 海南航空と提携し世界初のARフライト

Rokidと海南航空が、航空機内でのAR体験ができるフライトを実施しました。2月7日に深圳から西安へ向かう便にて、ARでシアター級の3D映画やゲームを乗客へと提供しました。2月8日から1ヶ月以上にわたり20以上の海南航空のフライトにRokid のARグラスが搭載され、ランダムにサプライズにて機内で提供されたとのことです。

https://x.com/RokidJapan/status/1755363307551088919

注目グラス・デバイスの発表・発売が続く

2月26日から4日間、MWC Barcelona 2024(MWC 2024)がスペイン・バルセロナで開催されたこともあり、国内外を問わず、注目のARグラス・デバイスが続々発表されました。

Apple Vision Pro 米国で発売開始

Apple Vision Proが2/2にアメリカで発売が開始され、全世界のXR業界やガジェット通の方が現地のApple Storeに並ぶ、続々とレビューがアップされるなど話題となりました。

本メディアを運営するpalanでも発売直後にアメリカで入手し、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度申請を済ませた上で体験やアプリ開発を行ないました。

誰でも空間コンピューティングのコンテンツを作成可能な「palanAR for Vision」についてはこちら:

https://palan.co.jp/news/apple_vision_pro_taiou

3月

MICLEDIが2,500万ドル(約1億8,000万元)の資金調達

AR用マイクロLED開発を行うMICLEDIがシリーズAの資金調達を実施しました。MICLEDIがこれまでに調達した総額は約3,000万ドル(2億1,600万元)に達しました。

CEOのSean Lordは“この最新の資金調達ラウンドは、チームの拡大、アクティブ バックプレーン ASIC の設計と構築、AR ディスプレイ用のメガネに使用できる完全に機能する microLED ディスプレイ モジュールの作成に使用されます。” とコメントしました。

https://finance.yahoo.com/news/micledi-microdisplays-raises-series-funding-140000229.html?guccounter=1

KDDI、大画面でエンタメコンテンツを楽しめるスマートグラス「au Smart Glasses」を発売

auは対応スマートフォンにケーブル接続するだけで、映画/ゲーム/スポーツ観戦などのコンテンツを120インチ相当の大画面の迫力で楽しめるスマートグラス「au Smart Glasses」を3月15日に発売しました。主に個人がエンターテインメントを楽しむための用途の仕様になっています。

https://www.au.com/information/topic/mobile/2024-009/

4月

NianticがLightship 3.4をリリース

ワールド・ポジショニング・システム(WPS)と呼ばれる実験的な新機能が導入されました。WPSはデバイスのコンパスとGPS位置情報の精度を向上させ、アプリケーションナビゲーションを改善するものです。

座標ベースのオブジェクト・ジオキャッシングを標準的なGPS性能よりも向上させ、ARの世界や2Dマップ上のどこにでもより高い精度でオブジェクトを配置できるようになりました。

https://lightship.dev/blog/lightship-ardk-3.4/

Ray-Ban MetaスマートグラスにマルチモーダルAI機能を提供開始

Metaは4月23日(現地時間)、「Ray-Ban Metaスマートグラス」にマルチモーダルAI機能「Meta AI with Vision」とビデオ通話を通じた映像共有機能を追加すると発表しました。

マルチモーダルAI機能では、グラスが装着者が見ているものを理解できるようになり、例えばMeta AI を使用してテキストを翻訳する、観光中に情報を探すなどをハンズフリーで行えるようになります。

映像共有機能では、WhatsApp と Messenger のビデオ通話で景色を共有でき、ハンズフリーで友人や家族と視界を共有しながらコミュニケーションが取れるようになりました。

https://www.meta.com/ja-jp/blog/quest/ray-ban-meta-smart-glasses-new-styles-multimodal-ai-ferrari/

その他4月の注目ARニュース

5月

Google I/O 2024 開催、未発表のグラス型デバイスも

2024/5/15から16にかけて開催されたGoogle I/O。全体を通して、AIに関する情報がほとんどでしたが、AR関連のアップデートも行われました。

  • Geospatial CreatorとARCore:主にGoogle Mapとの連携が強化、UnityでGeospatial Creatorを使う際、1つのコンテンツを複数箇所に設定することが可能に
  • 一部パートナーのARコンテンツをGoogle Map内やストリートビューを使って直接表示する試みが開始
  • 基調講演の動画において、Geminiに様々な質問を投げかける中で、グラス型デバイスも登場

AR関連の発表はこちらの記事でもまとめています!

Geospatial Creatorの強化など、Google I/O 2024に関するARの話題をおさらい!

「Unity 6」プレビュー版がリリース

「Unity 6」のプレビュー版がリリースされ、さまざまな機能や改善が発表されました。

  • レンダリングパフォーマンスの強化
  • ライティングの機能強化
  • マルチプラットフォームの機能強化
  • Unity ビルドウィンドウの QoL 改善と新しいビルドプロファイルの追加

https://unity.com/ja/blog/engine-platform/unity-6-preview-release

ポケモンGOのAR撮影機能「GOスナップショット」が大幅アップデート

「ポケモンGO」のAR撮影機能「GOスナップショット」でAR撮影時にポケモンを3匹まで任意に選べるようになり、撮影をサポートする機能も追加されより撮影しやすくなりました。

これのアップデートにより、SNSには多くのポケモンとの写真が投稿され、AR写真をより身近なものにしました。

その他5月の注目ARニュース

6月

Niantic、XRコンテンツ開発ツール「Niantic Studio」を発表

NianticからXRコンテンツや3Dゲーム向けの開発プラットフォーム「Niantic Studio」が発表されました。

NianticはWebAR開発が可能な「8thwall」を提供していましたが、プログラミングの知識が必要であり、知識のない人にとってはハードルが高くなっていました。「Niantic Studio」はビジュアルエディターで直感的な操作で開発が可能になりました。

https://www.8thwall.com/docs/ja/studio/

XREALがARコンピューティングデバイス「XREAL Beam Pro」発表

XREALが3D空間撮影カメラを備えた最新ARコンピューティングデバイス「XREAL Beam Pro」を発表しました。AR向けに最適化されたAndroid 14ベースの「nebulaOS」を搭載しており、見た目はまるでスマホのようなARコンピューティングデバイスです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000070978.html

「XREAL Beam Pro」の実機レビューはこちら!

【実機レビュー】空間コンピューティングデバイス「XREAL Beam Pro」で気軽にARグラス接続&3Dビデオ撮影をしてみた!

Apple Vision Pro、日本でも発売開始

Apple Vision Proが日本、オーストラリア、カナダ、中国本土、フランス、ドイツ、香港、シンガポール、英国で販売が開始されました。日本では6/11に発売日が明らかになり、6/28から発売が開始され、2月のアメリカ発売同様に話題となりました。

その他6月の注目ARニュース

6月18日から20日まで、世界最大級のXRイベント「AWE USA 2024」が開催されたこともあり、各社から新技術・デバイスが発表されました。

7月

7月はパリ五輪が開催されたこともあり、関連ARコンテンツのリリースが盛んに行われました。

Snapchatを活用したパリオリンピック開催記念ARコンテンツがリリース

国際オリンピック委員会(IOC)やコカコーラなど各企業が、Snapchatを活用したパリオリンピックを盛り上げるARコンテンツを展開しました。

https://newsroom.snap.com/paris-2024-olympic-games-on-snapchat

その他7月の注目ARニュース

8月

ARエフェクトが作成可能なプラットフォーム「Meta Spark」が提供終了

米Metaより8月27日(現地時間)、InstagramなどでARエフェクト(フィルター)が作成可能な「Meta Spark」が終了することが発表されました。

突然の発表だったこともあり、個人クリエイターやInstagramユーザー、プロモーションに活用していた企業などの間で混乱の声が上がっていました。

代替策や詳細についてはこちらの記事にまとめています!

「Meta Spark」が2025年1月に終了、影響・対応策は?

3Dスキャンスマホアプリ「Scaniverse」が4.0へアップデート

Nianticが提供する「Scaniverse」がアップデートされ、3Dスキャンを作成してから共有までがさらに迅速で簡単になりました。撮影したスプラットを地図上に展開・閲覧できるようになり、Niantic StudioにアップロードしてウェブゲームやVR体験のキャンバスとして使用できるようになりました。

https://nianticlabs.com/news/scaniverse4?hl=ja

9月

Meta Connect 2024が開催、「Meta Quest 3S」やARグラス「Orion」を発表

9月26日(日本時間)、Metaの開発者会議であるMeta Connect 2024が開催されました。期待されていたMeta Quest 3の廉価版や、高評価を受けているスマートグラス『Ray-Ban Meta』についての発表もあり、盛り上がりを見せていました。

ARグラス「Orion」の発表はまだプロトタイプで発売未定であるものの、ARの未来を予感させるものとしてAR業界でも大きな話題となりました。

Meta Connect 2024の発表についてはこちらの記事にまとめています。

【Meta Connect 2024】ARデバイス『Orion』のデモやMRの入門機『Meta Quest 3S』など、XR関連の情報をまとめました!

Orionの特徴についてはこちら!

日常が変わる?Metaの新ARグラス「Orion」が登場!特徴やビジネスへの影響を紹介

国内外で注目グラス・デバイスのリリースが続く

世界最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ2024」、Snap開発者会議「Snap Partner Summit 2024」なども開催され、国内外で注目グラス・デバイスのリリースが続きました。

10月

NTTコノキューデバイスのXRグラス「MiRZA(ミルザ)」が販売開始

MiRZAはNTTコノキューデバイスから2024年10月に発売された、軽量でワイヤレス、高性能なXRグラスです。クアルコム社のチップセットSnapdragon(※) AR2 Gen 1を世界ではじめて搭載し、スマートフォンと無線接続することができます。

XRグラスのデメリットであるケーブル接続をなくし、移動を伴うようなシーンでも快適に使用でき、さまざまな場面で活用できます。

※Snapdragon及びSnapdragon Spacesは、 Qualcomm Incorporatedの登録商標です。

「MiRZA」の実機レビューはこちら!

NTTコノキューデバイスの新XRグラス「MiRZA」実機体験レビュー!

Unity、「Unity 6」を正式リリース

6 か月間のテスト期間を経て「Unity 6」が全世界でリリースされました。これにより、これまで以上に迅速かつ効率的にゲーム制作ができるようになりました。

  •  ゲーム分野のアップデート
    • レンダリングパフォーマンスの強化
    • プロジェクトを成功へ導く高い生産性
    • 進化したマルチプラットフォーム対応
  •  産業分野のアップデート
    • 没入感溢れるデジタルツインの実現
    • 膨大なアセット管理を効率化
    • 機械学習ライブラリをアプリに

https://unity3d.jp/release-unity6/

Infinite Reality、Zapparを4500万ドルで買収

Infinite Realityは、2019年設立の米コネチカット州に拠点を置く企業で、AI、XR、その他の没入型テクノロジーに取り組む企業です。

Zapparはイギリス発のスタートアップ企業で、WebAR開発プラットフォームの開発などに取り組んできました。

Infinite Reality は、Zapparのソリューション、専門知識、機能を追加することで、Web 向けの没入型体験を構築するためのリソースがさらに増え、空間ビデオ、360 度ビデオと写真、複合現実アート、XR ゲームなどのコスト効率の高い没入型体験を提供する能力が拡大するのに役立つと述べています。

Infinite Reality Further Expands its XR Portfolio with $45M Acquisition of Zappar

「Niantic Studio」にVPS機能が統合

Niantic VPS for Web が Niantic Studioに統合され、位置情報ベースのWebARをこれまで以上に簡単に作成できるようになりました。またVPSとNiantic StudioのWebゲームエンジンを使用することで、ARコンテンツを配置するだけでなく、現実世界をインタラクティブなWebARゲームの背景に変えることができるようになりました。

https://www.8thwall.com/blog/post/181633571171/niantic-vps-in-niantic-studio

Niantic、公園でARが体験できる「Niantic Park」を発表

NianticとTokyo Legacy Parksがパートナーシップを発表し、都立明治公園の来園者にAR体験サービス「Niantic Park」を提供開始しました。

公園内の正確な場所に結びついたAR体験やサービスを提供できるようになり、第一弾としてゲーム「Pikmin Bloom」とのコラボレーションが開始されました。

https://nianticlabs.com/news/nianticpark?hl=ja

11月

Niantic、空間コンピューティングプラットフォーム「Niantic Spatial Platform」を発表

Niantic Spatial Platformは、Nianticが提供するARに関する技術・ツールを統合したプラットフォームです。VPS、LGM(Large Geospatial Model、大規模地理空間モデル)の活用により、現実世界とデジタル空間のシームレスな連携が可能になると発表されました。

具体的なリリース日や機能などは明らかになっていませんが、イメージ動画などから、Nianticが目指す、現実世界とデジタル世界を融合させ、人々の生活をより豊かにするビジョンが伺え、AR業界で話題となりました。

国内外で注目グラス・デバイスのリリースが続く

11月もグラス・デバイスに関する注目のリリースが続きました。

その他11月注目ニュースはこちら!

2024年11月 注目AR/XRニュースまとめ!

12月

Google、XRデバイス用OS「Android XR」、サムスン共同開発のヘッドセットを発表

2024年12月12日、Googleは新たにXRデバイス用のOS『Android XR』を発表しました。Android XRは、Googleが開発した、VRやARといったXR体験をスマートフォンや専用のヘッドセットなどを通じて実現するための新しいプラットフォームです。

Googleは以前に『Google Cardboard』や『Google Glass』といったハードウェアを手がけていたこともあるのに加えて、長年ARCoreをはじめとしたAR技術開発に力を入れていました。『Android XR』はこれらの機能に加えてAIを使用することで、見る・働く・探すといったシーンを変えるOSになっています。

「Project Moohan」のコードネームで開発が進んでいるサムスン製のデバイスが、来年発売予定であることも合わせて発表されました。VRとARを切り替えることができる端末になるとのことで、こちらも今後の発表に期待です。

「Android XR」の概要はこちら!

Googleから発表された『Android XR』の概要と開発方法をまとめてみました!

「Scaniverse」のアップデートでAndroid 4.0、日本語、WebXR対応など

「Scaniverse」でAndroid 4.0、日本語、WebXRへの対応などのアップデートが続きました。

年末に向け、注目グラス・デバイスのリリースが続く

国内では「XR Kaigi 2024」が開催されたこともあり、12月もグラス・デバイスのリリースが続きました。

2024年 AR業界 トレンドまとめ・2025年の展望

2024年のニュースで話題となったのは何と言ってもApple Vision Proの登場でしたが、他にもMetaのOrion、GoogleのAndroid XRなど、AR/XRの未来を感じさせる大きなニュースが続きました。

また国内外を問わずARグラス/デバイス関連のリリース、資金調達が続き、これまで使用ハードルとなっていたサイズや重さ、視野角も改良されたデバイスが多く登場しました。今まで一部領域を除き普及しているとは言い切れなかったARグラス/デバイスですが、来年以降は更に浸透が進んでいきそうです。

また各社でARデバイスとAIとの連携が進み、スマートフォンなどを通さなくとも、ハンズフリーでAIのアシストを受けられる未来も近くなると感じられました。

Niantic studioなどのXR開発プラットフォームに加え、本まとめでは紹介しきれなかった動画・3D等のAR/XR開発に関わる生成AIも大幅進化しており、プログラミングの知識がなくともAR/XRコンテンツを開発できる環境も整ってきています。

デバイス、プラットフォーム、AIの進化により、来年は一層AR/XRが身近になる年となっていきそうです!

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