【2022年6月版】海外AR関連スタートアップ10社と資金調達状況まとめ

AR市場が盛り上がりを見せています。
2022年のWWDCではAppleによるARグラスは発表されなかったものの、RoomPlanをはじめとしたARに関するアップデートが発表され、年末にはMetaの新しいデバイスがMR対応することも公表されました。

前回、こちらの記事で国内のAR関連スタートアップの資金調達をまとめましたが、その続編で海外スタートアップの状況をまとめていきます。

尚、今回のご紹介対象は未上場企業かつ独立(M&Aされていない)企業のみ対象としています。

Niantic(累計調達金額:約1兆円)

ポケモンGOで知られるNianticも、実はまだ未上場のスタートアップです。
相次ぐAR企業の買収、また今年のNiantic LightShip SummitではLightship VPSの発表など、話題に事欠かないAR業界のリーディングカンパニーです。

過去5回の資金調達を行い、調達金額はなんと驚きの770ミリオンドル、約1兆円です!
直近では2021年11月に投資ファンドのCoatueから約330億円のシリーズD調達を行っています。

主な投資家としてはシリーズCでリード投資家となったIVP、シリーズBでリードしたSpark Capital、シリーズAでリードしたAlsop Louie Partnersなどがいます。他にもポケモン社、Google、任天堂、サムスンベンチャーズなどが出資しています。

Magic Leap(累計調達金額:約4,700億円)

Magi LeapはARヘッドセットを提供しているスタートアップです。
コロナ禍もあり、経営不振による大規模リストラなど良くないニュースも多かった同社ですが、苦難を乗り越えMagic Leap2が2022年中に発売予定です。

投資家としては、NTTドコモが300億円超を出資し、AT&TGoogleAlibaba GroupJP Morgan Chaseと名だたる企業が名を連ねます。

SCANDIT(累計調達金額:約368億円)

スイスに本社を置くScanditは、バーコードや文字、物体の高精度の認識技術を保有している企業です。認識した素材の上に情報を表示させるなど、AR技術を組み合わせ、例えば店舗や物流倉庫でのオペレーションの改善など、様々なシーンで利用されています。

イオンリテール社にも導入され、イオンモールでの買い物時にユーザーが自分で商品スキャン可能な「レジゴー」に技術提供をしています。

主な投資家としてはシリーズDでリード投資家となったPEファンドのWarburg PincusSony Innovation FundG2 Venture PartnersNGP CapitalAtomicoなどがいます。

Mojo Vision(累計調達金額:約270億円)

アメリカカルフォルニアに本社を置くMojo Visionは、スマートコンタクトレンズの「Mojo Lens」を開発しているスタートアップです。
どのようなものか、まずこちらの動画をご覧ください!

ARグラスの先にはスマートコンタクトレンズが来るのではないか、と言われていますが正にそういった未来を実現しようとしていますね。

2020年12月にはメニコンとスマートコンタクトレンズに関する共同開発もリリースされています。
主な投資家としてはグローバルブレインKDDI Open Innovation FundTDK Ventures(米国子会社)といった日本関連の投資家もおり、シリーズBをリードしたNew Enterprise AssociatesMotorola Solutions Venture CapitalAmazon Alexa Fundなど多くの投資家が顔を並べます。

WayRay(累計調達金額:約145億円)

WayRayはスイスに本社を置く、自動車など乗り物向けのAR技術を提供しているスタートアップです。
自動車のディスプレイに、例えば歩行者情報や速度やナビゲーションなど様々な情報を表示し、運転をより便利にしてくれます。

Alibaba GroupChina Merchants CapitalHyundai Motor CompanyPorsche Venturesなど、自動車系の事業会社の出資も目立ちます。

Perfect(累計調達金額:約135億円)

Perfect社は台湾に拠点を置く、主に美容系のARやAIを活用した試着サービスを提供しているスタートアップです。
バーチャルメイクやAR肌診断など様々なビューティソリューションを提供しています。

 投資家としてはゴールドマン・サックス、北京を拠点とするChina Creation Ventures (CCV)Alibaba Group、Extol Capitalなどが出資しています。

Avataar(累計調達金額:約70億円)

Avataarはインドに拠点を置く、EC事業者向けのAR試しおきサービスを提供しているスタートアップです。
自宅にいながら商品サイズを知ることができ、「届いたらサイズが違った!」といった返品リスクを軽減することができるとのことです。

主な投資家としては世界的VCであるセコイア・キャピタルのインド拠点であるSequoia Capital IndiaTiger Global Managementが出資しています。

Marxent(累計調達金額:約37億円)

Marxentは米フロリダに拠点を置く、家具や小物などをWebAR用に管理編集し、デジタル3Dルームを作成シミュレーション可能なプラットフォームを提供しています。

投資家としてはBellini Capital、Detroit Venture PartnersStage 1 Venturesなどが出資しています。

TetaVi(累計調達金額:約32億円)

TetaViはボリュメトリックビデオ技術の研究開発を行う、イスラエルのスタートアップです。
TetaViのスタジオで映像撮影し、このような立体映像を作成することが可能です。

日本でもNTTドコモがNTT XR STUDIOとしてTetaViの技術を使用したスタジオを設立しました。

投資家としてはOurCrowdInsight PartnersNimble Venturesなどが出資しています。

Looking Glass Factory(累計調達金額:約28億円)

Looking Glass Factoryはホログラムデバイスを研究開発するスタートアップです。
日本でも裸眼で視聴可能なホログラムデバイスをクラウドファンディングを行うなど、注目を集めました。

投資家としてはSOSVAlumni VenturesFoundry Groupなどから、シリーズAラウンドで資金調達を行っています。

まとめ

今回は海外の注目ARスタートアップを10社ご紹介しました。
まだまだご紹介しきれないくらい、多くのARスタートアップがあります。傾向としてはECなど実用性の高いARが少しずつ増えてきていると感じます。

また別の機会では業界ごと、国や地域ごとのスタートアップもまとめていきたいと思います。