【2022年6月時点で12社!】ポケモンGO運営のAR企業、Niantic社による企業買収の歩み

Niantic社(ナイアンティック社)といえばポケモンGOの運営を行う、拡張現実(AR)企業です。「最先端の技術を使って現実の世界における人々の体験をより豊かにする」をミッションに、最近ではPikmin Bloom(ピクミンブルーム)など様々なヒットするARサービスを生み出してきました。

そんなNiantic社ですが、ARの可能性を広げる為、様々な企業への出資や買収をしてきました。
最新順に企業買収(M&A)の一覧をまとめました。

Web3ゲーム開発のSpotX Games社を買収(2022年5月)

2022年5月、アメリカ、マイアミに拠点を置くWeb3ゲーム開発のSpotX Gamesを買収しました。
買収金額は非公開です。

SpotX Games社は設立は何と2022年1月、そこから4ヶ月でのスピードM&Aとなります。
世界最大級の総合イベントSXSWでもNFT技術を活用したゲームを公開しました。このときには8th Wallを活用したWebベースのゲームでした。

https://www.youtube.com/watch?v=lDN8YXMwCDU&t=12s

ARとWeb3が今後どう組み合わされていくか、Niantic社としても研究していきたいとのことです。

ARスタジオのNZXR社を買収(2022年4月)

2022年4月には ニュージーランドに拠点を置くARスタジオのNZXRを買収しました。
買収金額は非公開です。

NZXR社は、MRデバイスのMagic Leapの開発を5年以上に渡り開発してきたチームを中心に設立された企業です。
COVID-19の影響もあり、Magic Leap社が大規模な業績悪化による解雇を行ったことで設立に至りました。

今回の買収により、マルチプレイヤー型のリアルワールドAR体験の設計および開発に欠かせない存在になるだろうとNiantic社のブログでも述べられています。

https://www.youtube.com/watch?v=PxkE_LskNeI

WebAR開発の8th Wall社の買収(2022年3月)

最近の事例ですが、WebAR開発においてトップシェアを誇る、8th Wall社を2022年3月に買収しました。
本メディア運営の株式会社palanは8th Wall社のパートナーということもありますが、WebAR界隈ではとても大きなニュースでした。

Niantic社の進める「現実世界のメタバース」と呼ぶAR開発者向けプラットフォーム「Lightship」をより加速させることを目的としているようです。
買収金額は非公開です。

https://webar-lab.palanar.com/news/niantic-8thwall/

ゲームキャプチャアプリLowkeyの買収(2021年12月)

2021年12月には、ゲームプレイのキャプチャ共有アプリLowkeyを買収しました。

公式の発表によると、Ingressでのゲーム内チャットやPokémonGOでのギフト交換、Pikmin Bloomでのポストカードの共有など、幅広いコミュニケーションをNiantic社は提供しており、その深いつながりを築き、現実の世界で人々を結び付け続ける為にもLowkeyの開発チームが必要だったとのことです。

3D-LiDARスキャンアプリのScaniverseを買収(2021年8月)

ScaniverseはLiDARを使用したiOS用の3Dスキャンアプリです。
Niantic社は2021年8月により買収しました。(買収金額は非公開)
これまで年額17ドル(日本では1950円)だった「Pro」のサブスクリプションに限定されていた機能も、買収の影響により無料になったことで話題になりました。

https://www.youtube.com/watch?v=qarYpjeQOcU

ゲーマー用コミュニティプラットフォームのMayhemを買収(2021年1月)

2021年1月には、ゲームについてのコミュニティを構築するサービスのMayhemを買収しています。(買収金額は非公開)
Mayhemは2017年に設立されたスタートアップ企業で、ゲームについてのコミュニティを作成し、更にトーナメントの構築などゲームを盛り上げることに強みを持っています。

Nianticによると、Mayhemの買収によりプレイヤー同士のコミュニティの強化などに繋げたいとのことです。

3D空間マッピングの6D.aiを買収(2020年3月)

6D.aiは2017年に設立したスタートアップで、3次元空間情報を高速で解析し作り出し、高精度なAR体験を提供しています。
Naiantic社は2020年3月に買収を行いました。(買収金額非公開)

6D.aiは現実世界とリンクし、複数端末とリアルタイムに連動可能な「ARクラウド」の実現を行っています。
Facebook社(現在のMeta社)に対抗する大きな打ち手ではと、買収当時業界内では大きな話題となりました。

https://www.youtube.com/watch?v=NZwt75eii4Q

現実とデジタルを組み合わせたゲーム開発のSensible Objectを買収(2019年6月)

Sensible Object社は2014年に設立したロンドンを拠点としたスタートアップです。
Niantic社は2019年6月に買収を行いました。(金額非公開)

Sensible Objectは、フィジカル(現実)とデジタルを組み合わせたゲームを開発しています。
特にこちらの動画の「Beasts of Balance」は今までに無い新感覚バランスゲームとして話題になりました。

https://www.youtube.com/watch?v=u0B2tqvGouo

Seismic Gamesを買収(2018年7月)

Seismic Gamesは2009年に設立されたゲームスタジオです。

Star Wars バトルフロントなどヒットゲームに携わってきたメンバーを中心に設立し、VRゲームのBlade Runner: Revelationsなどをリリースしています。

https://www.youtube.com/watch?v=tdUh03l9dJE

コンピュータビジョンと機械学習の専門チームMatrix Miを買収(2018年6月)

Matrix Millはロンドンに拠点を置く、2017年に設立されたニューラルネットワークの専門家が集まった企業です。
カメラに映された情報から、その周囲の風景を推測するニューラルネットワークの構築を行ってきました。

こちらのデモ動画では、ポケモンたちが人々や物を避け、オクルージョンを実現しています。

https://www.youtube.com/watch?v=0Y13DxRANO0

オクルージョンについてはこちらの記事もご覧ください。

https://webar-lab.palanar.com/column/ar-technical-term/

マルチユーザーAR体験を提供するEscher Realityを買収(2018年2月)

Escher Realityは2016年に設立されたスタートアップです。
Y Combinator出身でもあり、複数ユーザーがARを同期的に体験可能、かつ異なるOSでも体験可能なクロスプラットフォームなARを提供しています。
Niantic社は2018年2月に買収を行いました。(買収金額非公開)

アバターアニメーションサービスのEvertoonを買収(2017年11月)

Evertoonは2014年に設立された、3Dアバター作成に関するスタートアップです。
2017年11月にNaintic社が買収しました。(買収金額非公開)

自分の顔写真を元に3Dアバターを作成し、プログラムすることでアニメーションを作成し、共有することができるサービスを提供しています。

https://www.youtube.com/watch?v=bbvStO-wPMA

 

まとめ

AR開発の雄であるNiantic社の企業買収の歴史についてご紹介しました。
2022年時点、WebAR Labが把握しているだけでも11社の買収を行っています。

AR開発のコア技術に関する買収はもちろんのこと、ゲームを盛り上げるコミュニティや3D関連など、幅広く買収が行われています。
また、買収に共通している点として「非常に高い技術を有しているチーム」であることがあげられます。
サービスとして残っていないものも多くありますが、優秀な開発者による機能はポケモンGOを始めとする既存タイトルの進化や、ARグラスなど最新プロダクトに活かされているようです。