WWDC22で発表されたRoomPlanとは?フォトグラメトリとの違いは?

 6月6日から10日にかけて行われているWWDC22にて、Applenは新しいスキャン技術となる「RoomPlan」を発表しました。

https://developer.apple.com/augmented-reality/roomplan/

RoomPlanとは?

RoomPlanは部屋全体をスキャンしその場で3Dモデルを生成する技術で、ARkitのAPIとして提供されます。
Appleは関連領域として、インテリアデザイン、建築、不動産、e-コマースなどをあげています。スキャンした上で間取りや家具の配置を考えることができるためでしょう。

引用元:https://developer.apple.com/augmented-reality/roomplan/

RoomPlanは壁や家具を認識した上で、白いモデルを生成していく技術となります。
認識するものは多岐に渡り、壁や窓、ドアはもちろん、ソファーやベッドなどの家具も認識することができます。

https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2022/10127の動画より引用

生成したモデルはUSDまたはUSDZの形式で出力されるため、ARでの表示やモデリングソフトによる加工が可能です。

https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2022/10127の動画より引用

Object captureとの違い

Appleは21年にObject captureという、小物や家具をスキャンし3Dモデルとする技術を発表していました。
こちらの3Dモデルの項目からスキャンしたモデルを確認することができます。

https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2022/10127の動画より引用

こちらは複数枚の写真から3Dモデルを生成することができる技術です。今回発表されたRoomPlanはこの技術を部屋全体へと応用した技術と言えるでしょう。

注意が必要なのは、Object capture と異なり、LiDAR搭載のiPhoneまたはiPad Proでないと動作しないということです。
おそらく画像データのみでは正確な深度を出すことができないことや、処理の枚数が膨大になってしまうと考えられます。

フォトグラメトリとの違い

Object captureでも使用されている「フォトグラメトリ」と呼ばれる技術を使用して、今までにも部屋を丸ごと3Dオブジェクトとする技術は存在していました。

引用元:https://developer.apple.com/jp/augmented-reality/quick-look/

フォトグラメトリは写真や動画で撮影した物体を3Dオブジェクトにする技術です。使用するソフトや機器によって精度は異なるものの、色味や形などがそのまま立体物として得られるのが特徴です。
しかし凹凸や色味もデータとして得てしまう事から、大きな物体や広い範囲のスキャンはデータ量が膨大になってしまうことや、光の影響を受けやすいことがデメリットとして挙げられます。
そのため一般的にそのまま使用するには向かず、ソフトによる調整を経てから使用されることがほとんどです。

RoomPlanでは一般的なフォトグラメトリとは異なり、部屋を完璧に再現することはありません。部屋のレイアウトやどういった物体があるかを認識した上で、配置や大きさが正確になるよう3Dモデルに起こす技術となります。視覚的にもすっきりとしたモデルが生成されるため扱いやすく、応用範囲が広がるものとなるでしょう。

まとめ

本メディアでは他にもWWDCで発表されたニュースも記載しています。合わせてご覧ください。

https://webar-lab.palanar.com/news/wwdc22-overview/