AR(拡張現実)は、私たちの生活に浸透しつつあります。スマートフォンやARグラスを通して、現実世界にデジタル情報を重ね合わせることで、これまでにない体験を提供します。
ARは広告・プロモーションの分野でも活用されており、従来の広告手法では実現できなかった、消費者の心を掴む体験を生み出しています。
例えば、商品の3DモデルをARで表示して、消費者が自宅で試着したり、商品パッケージからARコンテンツを起動して、詳細な情報を提供したりすることが可能です。
本記事では、ARを使った広告・プロモーションの仕組みやメリット・デメリット、そして具体的な事例を紹介します。ARの最新技術を活用した、魅力的なプロモーション戦略を検討する上で、ぜひ参考にしてください。
AR広告・プロモーションの仕組みとは?
AR(拡張現実)とは、スマートフォンやタブレットのカメラを通して、現実世界に3Dデータなどを重ねて表示する技術です。このAR技術を活用した広告は、従来の広告では実現できなかった新たな体験を提供し、消費者の感情を動かすコンテンツとして注目されています。
AR広告・プロモーションを活用する4つのメリット
AR広告・プロモーションを活用するメリットとして、ここでは以下の4点について解説します。
▼AR広告・プロモーションを活用する4つのメリット
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メリット①|SNSなどで拡散され(バズり)やすい
AR広告は、一般的な広告よりも珍しく、没入感のある体験を提供します。アニメーションやゲームの要素を取り入れることで、さらに消費者の注目を集めることができます。
現実世界に仮想のオブジェクトを重ね合わせることで、強い視覚的インパクトを生み出し、記憶に残る広告体験を提供します。また、AR広告はSNS上で話題になりやすく、ユーザー同士の交流を活性化させるコンテンツとなる可能性を秘めています。
メリット②|コンバージョン率が高い
コンバージョンとは、Webサイト上で設定した目標を達成することです。例えば、商品の購入、資料請求、会員登録、アプリのダウンロードなどが該当します。
AR広告は、商品やサービスを自分の生活シーンに重ねて検討できるため、消費者の購買意欲を高める効果があります。
特に、アパレル、化粧品、家具などの商品は、ARで事前に試着・配置シミュレーションができるため、購入のハードルを下げ、コンバージョンに繋がりやすくなります。
メリット③|ブランドに愛着を持ってもらいやすくなる
AR広告は、ユーザーに能動的にコンテンツを体験してもらうことができるため、ブランドとのインタラクティブな体験を通じて、ブランドに対する親近感や愛着を育みやすいという特徴があります。
ユーザーがブランドに愛着を持つことで、継続的な購買や口コミによる拡散など、ブランドにとって好影響が見込めます。
メリット④|Webマーケティングと相性がいい
ARはWebサイトとの相性が非常に良いです。専用のアプリをダウンロードすることなく、ブラウザ上でAR体験ができるサービスも存在するため、ユーザーは手軽に新しい体験を楽しむことができます。
WebサイトでのAR活用例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 通常のWebページに期間限定でARを使ったプロモーションページを設ける
- 試着ARとネットショップを連携させて購買率を高める
このように、ARはWebサイト上で様々な形で活用でき、ユーザーに新たな体験を提供することで、エンゲージメントを高め、ビジネスの成長に貢献することが可能です。
AR広告・プロモーションを活用するデメリット
ここではAR広告やプロモーションを活用するデメリットについて解説していきます。
▼AR広告・プロモーションを活用するデメリット
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デメリット①|開発にコストと時間がかかる
AR広告の制作には、専門的な知識と技術が必要となるため、従来の広告と比較して開発コストが高くなり、制作時間も長くなる傾向があります。高品質なAR広告を実現するには、企画、デザイン、開発など、各工程に多くの時間を費やす必要があります。
しかし、WebAR作成ツール「palanAR」のようなサービスを利用すれば、専門知識や技術がなくても、比較的少ない予算でARコンテンツを作成することが可能です。
>>ARコンテンツ制作の費用は? | 見落としがちな依頼時のポイント4つをプロが解説!【2024年最新】
デメリット②|ユーザーの手間や負担になる場合がある
AR広告を体験するには、アプリのダウンロードやカメラ起動が必要になる場合があります。さらに、場合によっては会員登録を求められることもあり、ユーザーにとっては手間と感じて離脱してしまう要因となります。また、プライバシーの観点から抵抗を感じるユーザーもいるでしょう。
しかし、WebARであれば、アプリのダウンロードは不要です。Webブラウザ上で手軽にAR体験を提供できるため、ユーザーの負担を軽減し、より多くの人にARコンテンツを楽しんでもらうことができます。
AR体験に興味があっても、アプリのインストールがネックで躊躇していたユーザーも、WebARであれば気軽に体験してみたいと考える人が多いという調査結果もあります。WebARは、AR広告のリーチを拡大し、エンゲージメントを高めるための有効な手段と言えるでしょう。
引用元:500人に聞いたARに関する意識調査 – Apple Vision Proで話題のAR、成功のキーワードは「手軽さ」にあり!
AR広告・プロモーションを実行するまでの流れ
続いて、ここではARを活用した広告やプロモーション施策実行までの流れについて解説していきます。
▼AR広告・プロモーションを実行するまでの流れ
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STEP①|目的を明確にする
AR広告を導入する際には、解決したい課題や目指すべき目標を明確にすることが重要です。特に、ARコンテンツは、コンバージョン数の増加、コンテンツ拡散によるサイトへの流入数増加、エンゲージメント増加によるファン獲得といった目的を達成する際に有効な手段となります。
STEP②|ARコンテンツを企画する
AR広告を導入する目的を達成するためには、適切な企画を検討することが重要です。以下のような事例・サンプルをまとめたページでARの種類や活用事例を参考にしながら、自社の目的に合ったコンテンツを検討しましょう。
また、企画アイディアがない場合や、AR施策の実施経験が少ない場合は、AR企画・開発に依頼することも選択肢に入れましょう。
STEP③|制作する
ARコンテンツの制作は、自社で行うか、外部に委託(外注)するかを選択できます。自社にAR制作のノウハウがない場合は、専門知識や技術を持つ業者に外注することをおすすめします。
STEP④|テスト/評価する
AR広告を配信する前に、必ずテストを実施し、不具合がないか入念にチェックしましょう。
特に、実際にARを使用する場所や環境を想定して確認することが重要です。例えば、屋内と屋外では照明条件が異なるため、ARコンテンツの見え方が変わる可能性があります。また、ユーザーがARを体験する際のデバイスの種類やOSバージョンなども考慮し、様々な状況下でテストを行うようにしましょう。
STEP⑤|配信する
テストで問題がなければ、AR広告・プロモーションを配信しましょう。同時に、効果測定の準備も進めることが重要です。具体的には以下の通りです。
- 目的に応じたKPI(重要業績評価指標)の設定
- 計測ツールの設定
AR広告・プロモーションの目的を達成するために、どのような指標を測定するべきかを明確にしましょう。
また、Google AnalyticsやSNSのアナリティクスツールなどを活用して、AR広告・プロモーションの効果を測定するための設定を行いましょう。
これらの準備をしっかりと行うことで、AR広告・プロモーションの効果を正確に把握し、改善につなげることができます。
AR広告・プロモーションの活用事例10選
AR広告・プロモーションの活用事例をここでは10個ほど紹介していきます。
▼活用事例
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事例①|株式会社小田急エージェンシー:新宿サザンテラスビジョン
新宿駅南口の新たなランドマークとして注目を集める新宿サザンテラスビジョンでは、AR技術を活用した広告配信が実施されました。
通行者はスマートフォンをかざすことで、大型ビジョン上の広告と連動したARコンテンツを体験できます。新宿の街並みを舞台にしたインタラクティブなコンテンツは、多くの通行者の足を止め、話題を呼びました。
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事例②|カゴメ株式会社:商品の材料のおいしさを伝えるWebARコンテンツ
カゴメ株式会社は、「野菜一日これ一本」のプロモーションにWebARコンテンツを導入しました。商品パッケージにスマートフォンをかざすと、生産者の顔や農園の様子、レシピ動画などが表示され、商品の魅力を視覚的に訴求。消費者の購買意欲を刺激するだけでなく、食育への貢献も期待できます。
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事例③|西武渋谷店:ARのおみくじ&占い
西武渋谷店では、ARを活用したおみくじ&占いが実施されました。館内の特定の場所でスマートフォンをかざすと、おみくじや占いの結果が表示され、来店客は買い物だけでなく、エンターテイメント体験も楽しむことができました。
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事例④|一般財団法人渋谷区観光協会:WebARを活用したスタンプラリー
渋谷区観光協会は、人気アニメ「プリキュア」とのコラボレーションで、WebARを活用したスタンプラリーを開催しました。
参加者はスマートフォンを使って街中のチェックポイントを巡り、ARコンテンツやデジタルスタンプを集めることができました。観光客誘致だけでなく、地域活性化にも貢献する新たな試みとして注目を集めました。
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事例⑤|株式会社やおきん:第1回うまい棒総選挙
株式会社やおきんは、ARを活用した「第1回うまい棒総選挙」を実施しました。
ARマーカーを読み込むことで、人気投票に参加したり、限定コンテンツを視聴したりすることができました。消費者参加型の企画は、ブランドへの愛着を深める効果をもたらしました。
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事例⑥|株式会社I&S BBDO:TBSドラマとのAR企画
TBS火曜ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」が、1月11日(水)から17日(火)までの期間限定で、夕暮れ限定AR「#夕暮れ限定AR」を配信しました。
16時〜18時の2時間限定で、スマホをかざすと、広瀬すずさんと永瀬廉さんからボイスメッセージ入りAR動画が届きます。
「夕暮れ」という昼でも夜でもない、かけがえのない時間の美しさを味わってもらうため、ボイスメッセージは期間中の指定時間にしか出現せず、毎日違う内容を配信。広瀬さん直筆のメッセージが空に浮かび上がる特別な日も用意しています。
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事例⑦|アサヒビール株式会社:乃木坂46の限定トークが楽しめる
アサヒビール株式会社は、スーパードライと乃木坂46のコラボレーションでARコンテンツを制作しました。
対象商品を購入し、スマートフォンをかざすことで、ここでしか見られないメンバーの限定トークやパフォーマンスを楽しむことができました。ファンとのエンゲージメントを高めることに成功しました。
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事例⑧|株式会社ドミノ・ピザ ジャパン:世界のチーズをめぐる旅
株式会社ドミノ・ピザ ジャパンは、ARを活用した「世界のチーズをめぐる旅」キャンペーンを実施しました。
ピザボックスにスマートフォンをかざすと、世界各国のチーズに関する情報やクイズが表示され、楽しみながらチーズについて学ぶことができました。
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事例⑨|株式会社資生堂:アイシャドウのAR体験
株式会社資生堂は、ARを活用したマキアージュ ドラマティックアイカラーのバーチャル体験を提供しています。スマートフォン上で自分の顔にアイシャドウを試すことができ、購入前に色味や仕上がりのイメージを掴むことができる革新的な試みでした。
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事例⑩|株式会社花王:ヘアカラー剤の色選びにARを活用
株式会社花王は、ARを活用したリーゼ プリティア泡カラーの色選び体験を提供しました。
スマートフォン上で自分の髪にヘアカラーを試すことができ、自分に合った色を簡単に選ぶことができる画期的なサービスとして話題になりました。
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まとめ
ARは現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術で、広告・プロモーション分野で注目されています。
AR広告は、消費者の心を掴む体験を提供し、SNSでの拡散やコンバージョン率向上、ブランドへの愛着醸成に繋がります。Webとの相性も良く、様々なマーケティング戦略に活用できます。
まだARを広告・プロモーションへ活用したことがない場合は、まずは気軽に始められるツールや施策に取り組み、メリット・デメリット、効果を実感してみることをおすすめします。
本記事がAR広告・プロモーション検討の一助となれば幸いです。
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