近年、AR技術を活用したサービスを目にすることが増えてきたのではないでしょうか。
「ポケモンGO」といったゲームや「Instagram」のフィルターなど、様々なところでARが使われています。
この記事では、
- ARを活用したコンテンツのメリット
- ARを作成するにはどうすればよいのか
- ARコンテンツの活用事例
この記事を読むことで、ARコンテンツの活用方法について解像度を大幅に上げることができます。ぜひ最後までお付き合いください。
AR(拡張現実)とは?
「Augmented Reality」(AR)は、日本語で「拡張現実」と訳されます。ARとは、現実世界にデジタル情報を重ね合わせることで、まるで現実世界が拡張されたかのような視覚体験を提供する技術です。
このような非日常体験を顧客に提供することで、ARをプロモーションなどで活用すれば、大きな効果が期待できます。近年、ARを活用した事例は日々増加しており、その可能性はますます広がっています。
ARを活用したコンテンツのメリット
ARを活用したコンテンツを提供・利用することで、様々なメリットがあります。
またそのメリットを得られる領域は多岐にわたり、プロモーションから教育、観光など様々なところに適しています。
そのようなAR活用の具体的なメリットや例を、ご紹介します。
- メリット①|臨場感・没入感を高める
- メリット②|エンゲージメントを高める
- メリット③|理解を深める
- メリット④|新しい体験を提供する
- メリット⑤|コスト削減・効率化
メリット①|臨場感・没入感を高める
ARコンテンツは、現実世界の風景にデジタル情報を重ねて表示することで、より臨場感あふれる体験を提供します。
例えば、家具を実際に自分の部屋に置いたようにシミュレーションしたり、観光地でその場所の歴史や情報をAR表示したりすることで、より深くその場を体験できます。
メリット②|エンゲージメントを高める
ARコンテンツは、ユーザーを能動的に巻き込むことで、エンゲージメントを高め、顧客満足度を向上させることができます。
ゲームやアプリでAR機能を活用することで、ユーザーの参加意欲を高め、コンテンツをより長く楽しんでもらうことも可能です。
メリット③|理解を深める
ARコンテンツは、複雑な情報や概念を可視化することで、理解を深める効果があります。
例えば、教科書や参考書のイラストや図表をARで立体的に表示したり、科学館や博物館の展示物をARで解説したりすることで、情報をより分かりやすく伝えられます。
メリット④|新しい体験を提供する
ARコンテンツは、これまでにない新しい体験を提供します。
例えば、現実世界を舞台にしたARゲームを楽しんだり、アーティストのライブパフォーマンスをARで観賞したりすることで、これまでにない新しい体験ができます。
従来は、実際に現地に赴いて体験しなければならなかったものが、ARを活用することで、自宅にいながらにしてリアルな体験が可能になったのです。
メリット⑤|コスト削減・効率化
ARを活用したコンテンツは、コスト削減に貢献する可能性があります。
例えば、観光地や博物館で活用することで、展示物の製作・設置・維持にかかるコストや、パンフレットなどの印刷物にかかるコストを削減できます。従来は、展示物を設置する際には、その製作費に加えて、現場への輸送コストや設置・維持コストも発生していました。
しかし、ARを活用することで、これらのコストを大幅に削減し、より効率的な情報提供が可能になりました。
ARのコンテンツを作成する方法
ARを活用したコンテンツを取り入れるメリットをご紹介してきました。ARを取り入れたいけれど、具体的にどうすれば良いか分からない方もいるかもしれません。
ここでは、ARコンテンツを作成する2つの方法と、それぞれのメリット・デメリットをご説明します。
- 方法①|制作会社に依頼をする
- 方法②|制作ツール/プラットフォームを活用する
方法①|制作会社に依頼をする
専門知識と技術を持つ制作会社に依頼することで、高品質なARコンテンツを効率的に制作できます。制作会社に依頼するメリットは主に以下の2点です。
- クオリティの高いARコンテンツを制作できる
- 時間と手間を省ける
一方、デメリットとしては以下の点が挙げられます。
- 費用が高額になる
- 自社でのノウハウ蓄積が難しい
意思疎通や修正に時間がかかる場合がある: 制作過程での意思疎通や修正に時間がかかる場合があります。
方法②|制作ツール/プラットフォームを活用する
プログラミング知識がなくても手軽にARコンテンツを作成できるツールやプラットフォームを活用する方法です。ノーコードツールを活用することで以下のようなメリットを享受することができます。
- 比較的安価にARコンテンツを制作できる
- 自社でノウハウを蓄積できる
ただ、デメリットとしては下記の2点が想定されます。
- 自社で制作する場合に時間がかかる場合がある
- トラブル発生時に自力で解決する必要がある
これらのメリット・デメリットを踏まえ、自社の状況や目的に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
ARを活用した事例:観光地
ARコンテンツは様々な場面で活用されています。
観光地でARを活用したコンテンツの提供事例をご紹介します。
- 事例①|熊本県阿蘇市「うちのくまモン知りませんか」
- 事例②|宮川香山 眞葛ミュージアム
- 事例③|ISLAND MIRRORGE
事例①|熊本県阿蘇市「うちのくまモン知りませんか」
WebARを活用した謎解きと、阿蘇エリアのドライブ観光を組み合わせた、体験型リアル謎解きゲームです。
「パラレルワールドに迷い込んでしまったくまモンを助け出す」というストーリーに沿って、阿蘇エリアの観光スポットを車で巡りながら謎を解いていきます。
くまモンが謎を出題したり、謎を解いた後にはくまモンと一緒に写真を撮ったりできるなど、AR演出を通してくまモンと遊んでいるような体験を楽しめます。
▼関連ページ
https://nazoxnazo.com/event/kumamonland
事例②|宮川香山 眞葛ミュージアム
「みる ふれる 眞葛焼 -DXで鑑賞する眞葛焼- 」という特設企画展示が開催されました。
通常はガラスケース越しでしか鑑賞できない眞葛焼を、DX(デジタルトランスフォーメーション)技術を活用し、あらゆる角度から見て触れることができる体験型の展示です。
AR(拡張現実)を使ったデジタル展示と、3Dプリントで作成した眞葛焼のレプリカを実際に手に取れるリアル展示の両方を楽しめます。
▼関連ページ
事例③|ISLAND MIRRORGE
「ISLAND MIRROGE (アイランド・ミラージュ)」とは神秘の島「佐渡島」にある 『史跡 佐渡金山』の坑道内を 歩きながら体験するウォークスルー型アトラクションです。
「MRグラス」をかけながら、映像と音楽を使ったプロジェクションマッピングにより、空間的な演出も加えています。歴史遺産の場所でXR技術を活用した新しい体験ができる事例です。
▼関連ページ
https://www.island-mirrorge.com
ARを活用した事例:レジャー施設
続いて、レジャー施設で提供されたARコンテンツの事例をご紹介します。
- 事例①|ImaginAR in NAGOYA
- 事例②|渋谷PARCO:AR花火を活用
- 事例③|東急プラザ原宿「ハラカド」」:イベントでのAR活用
- 事例④|新江ノ島水族館-WebARを活用した七五三用デジタルフォトフレーム
事例①|ImaginAR in NAGOYA
新感覚街あそびARアプリ「XR City」を活用した体験型エンターテイメント「ImaginAR(イマジナル) in NAGOYA」が、愛知県名古屋市の栄地区で開催されました。
ユーザーは、好きな物語を選択し、主人公として栄地区を探索しながら、様々なAR演出を通して物語の世界を体験できます。
▼関連ページ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000110582.html
事例②|渋谷PARCO:AR花火を活用
渋谷PARCOの10階テラスにて、音楽と光とAR花火がコラボレーションする「冬の渋谷の夜空を彩るAR花火イベント」が開催されました。
専用アプリをインストールし、イベント会場にあるQRコードを読み込むことで、渋谷の街並み上空に打ち上がるAR花火を鑑賞できます。
実際に花火を打ち上げることが難しい渋谷の都心部において、AR技術を活用し、これまでにない新しい花火イベント体験を提供しました。
▼関連ページ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000225.000023281.html
事例③|東急プラザ原宿「ハラカド」」:イベントでのAR活用
東急プラザ原宿「ハラカド」開業記念イベントにて、ARで再現された幻のデュワーズ橋を体験できるサービスが提供されました。
来場者が会場のQRコードを読み込み、スマートフォンをかざすと、神宮前交差点の先に「オモカド」の屋上テラスへと続く“幻のデュワーズ橋”が出現する仕掛けです。
さらに、その様子をSNSに投稿するとドリンク1杯が無料になるキャンペーンも実施されました。
このARコンテンツは、人々の「好奇心」を刺激し、新しい「発見」を提供するというブランドコンセプトを体現するために活用されました。
▼関連ページ
https://www.tokyu-land.co.jp/news/2024/001202.html
事例④|新江ノ島水族館-WebARを活用した七五三用デジタルフォトフレーム
新江ノ島水族館の館内イベントにて、WebARを活用したデジタルフォトフレームが提供されました。
来館者は、館内に掲示されたQRコードを読み込むことで、スマートフォン上で利用できるフォトフレームを取得できます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、密集を避けながら安心してオリジナルの写真を撮影できる工夫として導入されました。
▼関連ページ
WebARを活用した七五三用デジタルフォトフレームが新江ノ島水族館に導入!
ARを活用した事例:プロモーション
ARは、プロモーションとしても数多く活用された事例があります。
その例を3つご紹介します。
- 事例①|「じゃがりこ」でAR体験
- 事例②|ゆめのオリジナルアイスクリームAR
- 事例③|コカ・コーラ×マーベル:限定ARコンテンツ
事例①|「じゃがりこ」でAR体験
“はじめカリッとあとからサクサク”の心地よい食感が楽しめるカルビー株式会社の「じゃがりこ」から、AR(拡張現実)技術を使ってメッセージを贈れる期間限定サービス「あふれる気持ちARに!じゃがりこ秘密のメッセージ」が提供されました。
メッセージを受け取った人は、じゃがりこのパッケージに記載されたQRコードを読み込むことで、ARエフェクトを使った特別な写真を撮影できます。
▼関連ページ
事例②|ゆめのオリジナルアイスクリームAR
サーティワンアイスクリームから、オリジナルでデザインしたアイスクリームがARで飛び出し、まるで手に持っているかのように写真が撮れるサービスが提供されました。
スマートフォンで描いたアイスクリームのデザインを、AR技術によって現実世界に重ねて表示し、まるで本物のアイスクリームを持っているかのような写真や動画を撮影できます。
作成したARコンテンツはSNSで共有することも可能です。
▼関連ページ
事例③|コカ・コーラ×マーベル:限定ARコンテンツ
「コカ・コーラ」と世界的人気の「MARVEL」がコラボレーションしたPR企画「コカ・コーラ×マーベル:ザ・ヒーローズ」が開始しました。
それに伴い、限定デザインのPETボトルと缶が発売され、購入者限定のARコンテンツも提供されました。
ユーザーは、対象商品のパッケージ裏面にある二次元コードをスマートフォンで読み込むことで、キャンペーン限定のARコンテンツを体験できます。
▼関連ページ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000906.000001735.html
ARを活用した事例:学校教育
観光やレジャー、プロモーションだけでなく、教育でもARが活用されています。
その例を3つご紹介します。
- 事例①|N高等学校・S高等学校
- 事例②|東明館学園 東明館中学校・⾼等学校
- 事例③|大阪府立三島高等学校
事例①|N高等学校・S高等学校
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校にて、体験学習プログラム「ARを使って・学んで現代版鳥獣戯画を作ろう!」が実施されました。
このオンラインワークショップでは、日本の伝統的な作品「鳥獣戯画」に触れながらAR技術を学び、その活用方法を考えます。
生徒たちは、palanが提供するAR作成ツール「palanAR」を使用し、株式会社palanのサポートのもと、ARコンテンツを作成しました。
▼関連リンク
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000217.000028239.html
事例②|東明館学園 東明館中学校・⾼等学校
東明館高等学校の探究ハウス1年生は、授業の一環として基山町の駅前やモール商店街を中心とした各商店を取材し、その特徴や魅力を活かしたARコンテンツを制作・発表しました。
観光客や利用客は、アプリをインストールする必要なく、各店舗に設置されたQRコードを読み取るだけでARコンテンツにアクセスできます。
お店の外観や内装、商品などを実際に見ながら、高校生がARで付加したストーリーや情報を楽しめるため、各店舗の独自性と魅力をより深く理解できるようになりました。
▼関連リンク
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000130767.html
事例③|大阪府立三島高等学校
三島高等学校ではAR技術を活用し、副読本として指定している問題集に、教員が作成した解説動画をARコンテンツとして追加しました。
生徒は家庭学習の際、スマートフォンを問題集の該当ページにかざすだけで、その問題の解説動画を視聴できます。
▼関連リンク
https://storage.nakatani-foundation.jp/main/p/uploads/50e3677b0c39bb2db7f79bb39d98e28f.pdf
まとめ
ARコンテンツのメリットから、ARコンテンツの作成方法、活用事例まで幅広くご紹介してきました。
ARは、臨場感や没入感、エンゲージメントを高めるといったユーザーにとってのメリットだけでなく、コスト削減といったサービス提供者にとってのメリットも兼ね備えています。
そのため、観光地やレジャー施設、プロモーション、教育など、幅広い分野で活用されています。
ARを使った企画を検討する際は、これらの事例を参考に、「どういった目的で、どんな技術を、どのように扱うか」を把握することが重要です。
似た事例を参考にするだけでは、目的や体制、技術に関する知見が異なるため、表面的に施策を真似ても実行が難しい場合があります。
ぜひ、どのような技術が使われているか、事例を参考にしながら、AR施策の実行・改善にお役立てください。