2024年9月26日(日本時間)、Metaの開発者会議であるMeta Connect 2024が開催されました。期待されていたMeta Quest 3の廉価版や、高評価を受けているスマートグラス『Ray-Ban Meta』についての発表もあり、盛り上がりを見せていました。
MRの入門機『Meta Quest 3S』
Quest 3でできることはほとんどそのままに、価格を抑えた廉価版となります。視野角が96°x90°(Quest 3は110°x96°)、レンズはフルネルレンズを使用(Quest 3はパンケーキレンズ)し、カメラ前部にはRGBカメラがついていますが、深度センサーはありません。
処理性能やコントローラーはQuest 3と同じです。そのため、使い勝手に大きな差はみられませんが、見え方や深度センサーを必要とするMRの体験については異なります。
価格面でQuest 2から乗り換えられなかった方や、初めてヘッドセットを購入する方には非常に魅力的なデバイスとなるでしょう。価格は¥48,400〜となります。
Meta Quest 3も価格改定
3Sの発売に合わせて、Meta Quest 3も価格改定が行われます。また、128GBモデルは終売となり、512GBモデルのみとなります。
Windows PCと連携し、MRでデスクトップを拡張!
Questの機能拡張として、Windows 11搭載のコンピューターをMeta Questヘッドセットに接続できるようになると発表されました。キーボードを見るだけでペアリングを開始でき、画面を拡張することができます。
似たような拡張ディスプレイ機能は、Apple Vision ProとMacのユーザーの間で登場しており人気の機能となっています。これにQuestとWindowsでも追従していく形となります。MacやWindowsを問わずHMDを拡張デバイスとして使用するニーズは高く、今回の機能を熱望していた方も多いのではないでしょうか。
PCいらずでハイクオリティなフォトグラメトリ空間が楽しめる『HyperScape』
3D空間のレンダリング技術である「ガウス・スプラッティング」を利用して、フォトリアルな空間を実現する機能『HyperScape』も発表されました。クラウドレンダリングとストリーミングを活用し、これらの空間をスタンドアローンのQuest 3ヘッドセットで表示できるようにすることができるようになります(デモ体験は米国のみ)。将来的にはスマートフォンを使ってスキャンしたものを再現できるように目指しているとのことです。
『Ray-Ban Meta』もAIで更なる機能追加に。
『Ray-Ban Meta』は発売以来、デザインや手軽さから人気となっているデバイスです(日本では未発売)。今回はMeta AIとの連携がアップデート。より多くのことができるようになります。例えば「駐車場に止めた場所を覚えておいて」といった記憶の補助やリマインダー、QRコードのスキャンなど。
さらに、リアルタイム翻訳も可能になります。Connectでは、実際に『Ray-Ban Meta』をかけた人同士で翻訳をしながら会話する様子が披露されました。
ARデバイス『Orion』で語る未来
『Meta Connect 2024』では、全部で50分の基調講演のうち、約15分もの時間をかけて開発中のARデバイスについての話をしていました。
発表されたデバイス『Orion』は、見た目は少しフレームの分厚いメガネといった形状ですが、重量は100g未満、高い解像度と視野角をもち、声による操作、ハンドトラッキング、視線のトラッキングが可能です。処理を行うためのコンピュートパックとは無線で接続されています。さらに、腕につける操作用のデバイスをつけることで、ごく小さいジェスチャーで操作が可能になります。
本デバイスは発売されることがないデモ機ではあるものの、長年莫大な金額を投資してきた一つの到達点と言え、未来を予感させる「タイムマシン」のようなものになっています。
まとめ・関連情報
今年の公演では、過去にないほどスマートグラス・ARグラスに時間を割いているのが印象的でした。『Meta Quest 3』と『Ray-Ban Meta』の両輪が安定しており、未来に向けてじっくりと発表できるような土台が整っていたといえます。『Orion』のようなデバイスが一般消費者の手に届くところまでは数年の時間が必要ですが、大いに期待できるでしょう。
参考:https://www.meta.com/ja-jp/blog/quest/orion-ar-glasses-augmented-reality/