※この度、8th WallのLightship VPSの検証について寄稿いただきました。
8th WallのLightship VPSで、
・巨大な建造物をWayspotとして登録する
・巨大なモデルを表示する
ことがどこまで可能か、検証してみました。
今回は前半の、巨大建造物を使った検証についてまとめます。
どれくらいのサイズの建造物をWayspotとして登録できる?
公式のドキュメントによれば、
Scanned VPS-activated locations should be no larger than a 10-meter diameter around the location.
つまり、周囲の直径 10 メートルを超えないようにする必要がある、と言われています。
これ以上大きなスポットを登録してみたら、どうなるでしょうか?
検証
検証に使った建造物
- 勝利の門 : 高さ21m
- The Walking Man :高さ17m
- Discrepancy : 高さ10m
- Ludwig Maximilian Universityの噴水 : 高さ8.25m
表示モデル
- “Box” (https://skfb.ly/6W8AF) by JalenJacobson is licensed under Creative Commons Attribution (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
- “Low Poly Bird (Animated)” (https://skfb.ly/6n6vx) by Charlie Tinley is licensed under Creative Commons Attribution (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
実際に登録してわかったこと
スキャン範囲の10mを守るべし
まず、こちらは検証建造物の内最大の勝利の門のスキャンの様子です。
全景をカメラに収めてスキャンするために、最初は遠くから撮ってみました。
しかしそうすると、手前の部分しかスキャンすることができず、Wayspotにしたい門そのものをスキャンできないことがわかりました。
近づいて、門の真下から見上げるようにスキャンした様子がこちらです。
目一杯腕を伸ばしてみたものの、上の方までスキャンすることができませんでした。
このことから、恐らく精度を上げる目的で、カメラから最大10mくらいの範囲までしかスキャンできないようになっているのではないか、と考えられます。
こちらは、高さ10m以下の噴水です。
しかし、実際スキャンしてみたところ、中心のオブジェクトの上部をうまくスキャンすることができませんでした。
噴水の囲いの外側から撮影したため、カメラの位置から噴水のてっぺんまでの距離が10mを超えてしまい、うまく撮影できなかったのではないか、と考えられます。
やはりスキャンする時は、「周囲の直径 10 メートルを超えないようにする」というレギュレーションを守るのが大事なようです。
The Walking Manは、足と足の距離がとても広いので、一回の有効スキャン(1分間)で撮り切るのがかなり大変でした。
スキャン中はゆっくりカメラを動かさないといけないこともあり、一回の撮影時間内に動ける距離を考えても、やはり10mというサイズが限界なのかもしれないと感じました。
スキャン結果
スキャンしてできたメッシュは、以下の通りになりました。
勝利の門
門の下の部分のみスキャンできました。
The WalkingMan
足先の部分のみスキャンできました。
上の方は、カメラを向けてもほとんど撮れませんでした。
Discrepancy
サイズとはまた別の問題で、細い枝を認識するのがかなり難しかったです。
そのため、木の根本以外のメッシュがあまりうまく撮影できていません。
Ludwig Maximilian Universityの噴水
囲いの部分はうまくいったものの、中央部のオブジェクトはほとんど撮影できていません。
また、これはスキャンしたモデルのサイズの問題か、自分の端末由来の問題かが不明なのですが、アップロードしたモデルが数日経ってもProcessingのまま、というモデルが複数ありました。
保険として1スポットにつき数回スキャンしておくのが大事です。
AR体験
メッシュは完璧なものではありませんが、モデルを置いてみたらどうなるか見ていきます。
各地点で、空に鳥のモデルを、地面に宝箱を設置してみました。
結論から言うと、Wayspotの検知と、モデル表示自体は全てうまくいきました。
勝利の門
The WalkingMan
Discrepancy
Ludwig Maximilian Universityの噴水
ただ、メッシュが一部分しか生成されていないため、メッシュ全体をhider-material(透明壁・床)として使うことはできないと言う制約はあります。
下の方は比較的綺麗にメッシュを取りやすいので、例えば、地面近くから何かが飛び出すような表現などであれば可能でしょう。
まとめ
VPSのWayspotを作成する場合、やはり公式で指示されている通り、最大直径10mほどまでのサイズの建造物に留めたほうが良さそうです。
それより大きいものだと、スキャンしきれず、綺麗なメッシュを生成するのが難しくなります。
また、「直径10m」であって、高さ10mのものを必ずしも綺麗にスキャンできるとは限りません(噴水の例のように、カメラからの距離が10mを超えることがありますからね)。
とはいえ、10m以上の巨大建造物でも、その一部分をスキャンし、Wayspot化して、モデルを置くこと自体は可能でした。
ただしこの場合、メッシュが一部分しか生成されていないため、メッシュ全体をhider-material(透明壁・床)として使うことはできないという点で、表現の制約はありそうです。
さて、後半では、Wayspotにどれくらい巨大なモデルを配置することができるかの検証についてお話したいと思います!
執筆者 影織 (@kageori_ar)
ARと切り絵を組み合わせた作品を中心に、様々な制作をしています。
https://kageori.pythonanywhere.com/
8th Wallを安価に使える「palanAR」
本メディアの運営会社である株式会社palanは8th Wallのオフィシャルパートナー企業でもあります。
palanが開発するノーコードAR作成ツール「palanAR(パラナル)」では、8th Wallの高精度な平面認識・画像認識の技術を利用してARを作成していただける「プレミアムオプション」もございます。
直接8th Wallと契約するよりも安価に8th Wallを利用してARを作成することができます。
palanARについてはこちら:https://palanar.com/
プレミアムオプションについてはこちら:https://palanar.com/about_premium
palanについて
palanARを使ってご自身で制作いただくだけでなく、弊社で8th Wallを使ったARの制作をご依頼いただくことも可能です。
8th Wallを使ったARを制作したい際は、お気軽にお問合せください。
8th Wall開発について詳細はこちら:https://studio.palanar.com/development/webar-8thwall
お問い合わせはこちら:https://studio.palanar.com/contact