※この度、8th WallのLightship VPSについて寄稿いただきました。全3回に渡り解説をお送りします。今回は第1回目です。
こんにちは、影織と申します。イタリアからpalanでお仕事させていただいているエンジニアです。
また、切り絵とARを組み合わせた作品を創るアーティストとして活動しています。
昨月末にリリースされた8th Wall VPSを触ってみたので、ハマりどころや気づいたことなどを、備忘録的にまとめていきたいと思います(2022/10/6現在の情報です)。
その前に今回はまず、VPSがどんなものかについて、詳しくまとめていきたいと思います。
そもそもVPSって?
VPSとは、Visual Positioning Systemの略称で、ある地点に正確に、高精度にオブジェクトを設置する仕組みです。
例えば、街中の巨大なモニュメントや、建物の壁や角などに、ピッタリと位置合わせしてオブジェクトを出すことで、よりリアルとバーチャルの境目が溶けたようなAR表現ができるんですね。
具体例を見てみましょう。(以下に添付した8th Wall公式の動画からキャプチャを撮っています)
例えば、こちらは黒い尖塔は、実際にリアル空間にあるもので、ラピュタみたいな紋様のパーツや、円形のオブジェクトはバーチャルで重ねた情報です。
こちらの例では、バーベキューセットだけがリアル空間にあり、クーラーボックス・クマ・焼いている食べ物・煙がバーチャル情報です。本当にクマがバーベキューしているように思えませんか?笑
このように、リアルな空間に実際にあるオブジェクトに対して、かなりピッタリと位置を決めてモデルを表示できるようになるので、すごくリッチな表現ができるんですね。
実際に動いているところを見ると、更にわかりやすいと思います。公式の動画をご覧ください。
VPSで使える地点 = Wayspotについて
Wayspotとは
Pokémon GOでお馴染みのNiantic社と、8th Wallが提携したことで、Niantic Wayfarerが使えるようになりました。
建築物やアート作品などが、Ingressのポータルや、Pokémon GOのポケスポットとして使われていますよね。Niantic Wayfarerというシステムの中で、その地点の登録を管理しているんですね。地点自体は、Wayspotと呼ばれています。
このシステムを8th Wall内で使えるようになったことで、さまざまな地点の情報を使いながらARを作れるようになったのです。
Wayspotの種類
8th Wallで使えるWayspotには、すでに登録されているものと、自分で新たに登録するものがあります。
前者はpublic Wayspot、後者はprivate Wayspotと言います。
Niantic WayfararというアプリがTestFlightで出ているので(iOSのみ)、それを使うことで、地点をスキャンして、Wayspotに登録することができます。
※privateは基本的に開発用なので、公開プロジェクトで使うことは推奨されていません。
Wayspotの登録のやり方については、また別の記事で書きたいと思います。
まとめ
これだけリッチな表現が、WebARだけでできるなんて素晴らしいですよね。
今後さまざまなコンテンツを作っていくのがとても楽しみです!
次回は、Wayspotについて書いていきたいと思います。
執筆者 影織(@kageori_ar)
ARと切り絵を組み合わせた作品を中心に、様々な制作をしています。https://kageori.pythonanywhere.com/