Vket2022 Summer開幕!バーチャル空間に見るAR的な表現

2022年8月13日より、バーチャルマーケット2022 Summer(Vket2022 Summer)が開幕しました。
規模もさることながら、様々なクリエイターによるバーチャル空間の表現も魅力の一つです。
その表現は回を追うごとに洗練されており、VRとは関係ない領域で活動している人にとっても参考になる部分が多くあります。

Vketとは?

https://summer2022.vket.com/

アバターや服、小物を始めとした3Dデータ商品だけでなく、リアルの商品(洋服、PC、飲食物など)も売り買いできるVRイベントです。
世界中からのべ100万人以上が来場しており、世界的に見ても非常に大きな規模のイベントと言えるでしょう。

https://summer2022.vket.com/about

VketにみるAR的な表現

将来的にARグラスが普及した場合、建物をCGで装飾したり、空中に案内板が出てきたりといった表現が登場すると予想されます。

そのような表現は実世界ではまだ実現が難しい部分もありますが、位置情報のトラッキングなどを必要としないVRでは実現が可能です。
そのためバーチャルの空間内ではあるものの、ARとしてよくイメージされる表現(建物や街中に情報を足していく表現)が見られることがあります。

そこで今回は、Vket内で使われているAR的な表現に着目してみました。

Vketは様々な会場に分かれていますが、その中でも企業が出店する「パラリアルニューヨーク」「パラリアル大阪」の2つの会場を見ていきます。

パラリアルニューヨーク

案内に使われるAR的な表現

パラリアルニューヨークでは中心に車道が走り、両脇に並んだ建物内に企業の出店が行われています。

その中で、ユーザーは車道を渡りながらジグザグに進んでいくこととなります。

それぞれの企業ブースも凝った作りになっているため、ただ歩く状態だと全ての企業を網羅することが困難です。
そこでAR的な表現によりルートを案内することでユーザーが迷わずに歩くことができるよう、工夫されていました。

空中に矢印を表示することにより地図を見なくても迷うことがありません。もちろん案内を無視することも可能です。
上から見ると一目瞭然。矢印によって左へと誘導されている様子がわかります。

また、歩道に行ってみると車道へ行かないように視覚的な仕切りがされているのがわかります。

エンターテイメントとして使われるAR的な表現

このワールドでは誘導だけでなくエンターテイメントの方にもAR的な表現が使われています。

例えばこのブースではミニライブステージを体験することができます。
曲に合わせて「ゲッダン」の文字(※ネット上で親しまれている用語、歌詞のGet Downが変化したもの)が登場したり、背景として木の色や波形が変化することでよりリッチな空間になるように設計されています。

他にも、こちらのブースではロケットの周辺にステッカーのような演出が施されており、現実では難しいポップな表現を楽しむことができます。

パラリアル大阪

案内に使われるAR的な表現

パラリアル大阪ではパラリアルニューヨークと異なり、基本的に一本道です。
そのため案内という意味合いは薄くなりますが、先に進む方向がわかるような演出がされています。

例えば床の表現が様々用意されており、奥に向かって変化していくことにより方向がわかります。

アーケードの中に入る際も同様、奥へと光が進んでいきます。こちらは棒状の光が奥へと進むことで進行方向が明確になっています。

大阪駅では床の表現に変わり、パラリアルニューヨークで見た矢印の案内が復活しています。一本道ではなくなり、駅内という複雑な構造をもつ場所になったため誘導の仕方が変化したと考えられます。

改札では進行方向に合わせて矢印が登場しており、改札を逆走しないように工夫されています。

エンターテイメントとして使われるAR的な表現

道頓堀はAR的な表現によって華やかに彩られていました。

川面にもエフェクトが。夜になると暗くなり不気味な場所になりがちですが、AR的な表現によって彩られると楽しくなりそうです。

空港にはふるさと納税のミニゲームが設置されていました。お札を飛ばすことで「納税」のエフェクトがとび、レベルが上がっていきます。

まとめ

どちらのワールドも非常に広いため、何もない状態だと現在地や目的地が把握できず迷ってしまう場合がありそうですが、AR的な表現により次にどこへ向かえば良いのか誘導されています。
エンターテイメントの表現に関しても、AR的な表現が展示を邪魔しないように工夫されているように感じました。

以前は現実世界では誘導や建物を彩るAR表現は困難でしたが、昨今のVPSの技術の発展により可能となりつつあります。

VRで試行錯誤されていく表現をARにも輸入することで、より豊かな表現が可能となるかもしれませんね。