8th WallのSLAMがアップデート!実サイズでの試しおきが可能に!

先月、Niantic社に買収されたことが記憶に新しい8th WallのSLAMエンジンがアップデートされ、指定したサイズのオブジェクトを設置することが可能になります。

これにより、例えば車を実サイズで駐車場に設置し、更にそこにアニメーションをつける、色を変えるなど、幅広い表現がWebブラウザだけで可能となります。

8th Wall社のリリースより 右側が今回の実サイズでの試しおき機能

1. 8th WallのSLAMのアップデート

8th WallはWebARの開発SDKを提供するアメリカの企業です。
2022年3月にはNiantic社が買収を行い、ポケモンGoを始めとしたNiantictの高い技術力と組み合わさることで、ますます進化を遂げようとしています。

 

https://webar-lab.palanar.com/news/niantic-8thwall/

8th Wallの特徴といえばWebブラウザだけでSLAMを実現していることです。
SLAMとは、自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術ですが、例えば8th Wallは「ブラウザのカメラ上で設置したオブジェクトをに近づいたり回り込むことが可能」な技術を有しています。

8th Wallのデモより

今回、このSLAMエンジンをアップデートし、実サイズでの試しおきを可能としました。
例えば縦4m、横1mの3D素材をWebブラウザのカメラ上に設置し、回り込んだり色を変えるなど「あたかも実サイズでその場に置いてある」ような体験を可能としています。

こちらの動画をご覧ください!

https://www.youtube.com/watch?v=fY236o9Ftoo

 

2. Quick LookやScene Viewerとの比較

WebAR上で実サイズで試しおき、というと、iOSではAR Quick Look、AndroidではScene Viewerを思い浮かべる方もいると思います。
またこれらを簡単に実装可能なmodel-viewerという技術もあります。

https://webar-lab.palanar.com/developer/model-viewer/

これらとの違いはどこにあるのでしょうか。
1つ大きな点は、「8th Wallの場合に設置した3Dモデルに対しての干渉の自由がある」ということです。

8th Wallと異なり、特にiOSのQuick LookはWebブラウザの中でも特殊な「ARで見るモード」のようなものを使用します。これはARを置く機能自体をAppleのQuick Lookのお作法に従う必要があり、Webブラウザ上でJavaScriptによって制御するものではありません。

対して8th Wallは、全てJavaScriptで平面の認識・表示まで制御しています。
※これは驚くべき技術であり、確実に世界トップの技術です。

これにより、例えば3DモデルをWebAR上に置いた後にJavaScriptで色を変えたり、特殊なアニメーションを行ったり、異なる3Dモデルを出したり、3DをWebAR上に置いた後の干渉が容易の為に表現の幅が増えるという利点があります。

8th Wallの実サイズ試しおき

一方、iOSのQuick LookやAndroidのScene Viewerは、ARKitやARCoreの機能を活用できる為、精度がより高いというメリットがあります。
また、例えばiOSのSafariではmodel viewerをより便利にするようなModel Elementなど期待を持てるような機能も開発中です。

更に、実はQuick Lookでも何とかアニメーションを切り替えるなどしてオブジェクトに変化をもたらすことが可能、という裏技のようなものもあります。
その技術がこちらのpalanARのさくらARでも活用されています。

https://www.youtube.com/watch?v=mW5-S05U2tk

 

まとめ

今回は8th WallのSLAMアップデートをお伝えしました。
8th Wallはこれからもとても楽しみな技術アップデートがありますし、WebXR Device APIの開発にも関わるなど、WebARの未来をより切り開いてくれそうです。

本メディア運営の株式会社palanは8th Wall社とパートナーシップを結んでいます。

https://webar-lab.palanar.com/news/palan-8thwall-partner/

ぜひ何か8th Wallにおいて疑問点などある際はこちらからご連絡ください!