近年、ARカメラアプリが続々と登場し、私たちの生活に身近なものとなっています。
代表的な例としては、世界的流行となった「ポケモンGO」が挙げられます。しかし、ARの事例は、「ポケモンGO」だけではありません。
広く利用されている「Instagram」などのアプリのフィルターも、ARカメラアプリの一種と言えます。
本記事では、身近になったARカメラアプリについて、その概要、種類、事例などを詳しくご紹介します。
- ARカメラアプリの前提知識
- ARカメラアプリの仕組みの種類
- ARカメラアプリの事例
ARカメラアプリとは?
ARカメラアプリとは、スマートフォンやタブレットのカメラを通して、現実世界にデジタル情報を重ねて表示するアプリです。
AR(Augmented Reality:拡張現実)と呼ばれる技術を用いて、あたかも目の前にデジタルオブジェクトが存在しているかのように見せることができます。
現在は、主に以下のような業種で活用が進められている状況です。
- ゲーム
- ショッピング
- 観光
その中で、ARのカメラアプリはto C領域での活用が進められています。詳細に関しては以下で解説していきます。
カメラアプリで使われているARの種類
カメラアプリに使われているARには、平面認識ARや物体認識ARなど複数の種類があります。
例えば顔認識ARはSnapchat、空間認識ARはポケモンGOなどがあり、それぞれが多くの人に使われています。
種類 | 概要 | 使用例 |
平面認識AR | 床や壁などの平面をカメラで認識し、そこにARコンテンツを配置する。 | – マリオカートARカート – AR Ruler |
物体認識AR | カメラで映した三次元の物体を認識し、その物体に関連するデジタル情報を重ねて表示する。フィギュア、商品、動物、建物など、様々な三次元の物体を認識することが可能。 | – YAMATO 桜井周遊ARガイド |
顔認識AR | カメラで映した顔を認識し、その顔に関連するデジタル情報を重ねて表示する。人間の顔を認識するため、より自然で直感的なAR体験を提供することができる。 | – YouCam Makeup – Snapchat |
空間認識(VPS)AR | カメラやセンサーを使って現実世界の空間を3Dで認識し、そこにデジタル情報を正確に配置する。床や壁などの平面や家具などの物体を認識することで、より自然でリアルなAR体験を提供する。 | – IKEA Place – ポケモンGO |
GPS型AR | GPS情報を利用して、現在地周辺の情報をスマートフォンなどの端末に重ねて表示する。マーカーなどは必要なく、位置情報だけでAR体験を提供することができる。 | – Star Walk 2 – Geospatial API(Google) |
このようなカメラアプリに使われているARの種類と概要、使用例をご紹介します。
種類①|平面認識AR
平面認識ARは、床や壁などの平面をカメラで認識し、そこにARコンテンツを配置する技術です。
例えば、「マリオカート ライブ ホームサーキット」では、床を平面として認識し、そこにバーチャルのカートを置いて遊ぶことができます。
また、「AR Ruler」などのアプリでは、カメラで床や壁を映すと画面上に定規が表示され、メジャーがなくても長さを測ることができます。
種類②|物体認識AR
物体認識ARは、カメラで映した三次元の物体を認識し、その物体に関連するデジタル情報を重ねて表示するAR技術です。
あらかじめ用意されたマーカーではなく、フィギュア、商品、動物、建物など、多様な三次元の物体を認識できます。
例えば、「YAMATO 桜井周遊ARガイド」では、この物体認識ARを活用し、遺跡にスマートフォンをかざすと、かつての建物の様子を目の前で見ることができます。観光や教育の分野で活用されています。
種類③|顔認識AR
顔認識ARは、カメラで映した顔を認識し、その顔に関連するデジタル情報を重ねて表示するAR技術です。
あらかじめ用意されたマーカーや三次元の物体ではなく、人間の顔を認識するため、より自然で直感的なAR体験を提供できます。
例えば、「YouCam Makeup」では、この顔認識ARを活用し、実在するコスメブランドのメイクやヘアカラーをバーチャルで試したり、若返りや老化のシミュレーションができます。
また、「Snapchat」では、ARによって顔にフィルターやエフェクトをかけたり、アニメのキャラクターや動物などに変身できます。
種類④|空間認識(VPS)AR
空間認識(VPS)ARは、カメラやセンサーを使って現実世界の空間を3Dで認識し、そこにデジタル情報を正確に配置するAR技術です。
マーカーやGPS情報などの技術とは異なり、床や壁などの平面や家具などの物体を認識することで、より自然でリアルなAR体験を提供することができます。
例えば、「IKEA Place」というアプリでこの空間認識ARが使われています。
ユーザーは、購入前の家具を実際に自分の部屋に置き、サイズや雰囲気が部屋に合うかを試すことができます。
また「ポケモンGO」というゲームでは、ARによって現実世界を舞台にポケモンを探し捕まえて楽しむことができます。
種類⑤|GPS型AR
GPS型ARは、GPS情報を利用し、現在地周辺の情報をスマートフォンなどの端末に重ねて表示するAR技術です。
マーカーや物体認識などの技術を使わず、位置情報のみでAR体験を提供できます。
例えば、「Star Walk 2」ではGPS型ARを使用し、夜空にカメラをかざすと、その場所で見える星座や惑星を表示できます。
また、「Geospatial API(Google)」は、GPS型ARの技術とGoogle マップのストリートビューのデータを組み合わせ、任意の場所に3Dモデルを表示できます。
ARカメラアプリの事例
ARカメラアプリと聞くと、特別なデバイスやソフトウェアが必要だと感じる方もいるかもしれません。
しかし、ARカメラアプリは実は身近にあり、世界中で多くの人が利用しています。
具体的にどのようなARカメラアプリがあり、どのようなAR体験を提供しているのか、詳しくご紹介します。
事例①|Instagram
「Instagram」は、写真や動画を共有できるソーシャルメディアアプリです。AR機能を使って、顔フィルターやエフェクトをかけたり、仮想のオブジェクトを配置したりできます。
例えば、adidas Tokyoが提供する「adidas サッカー日本代表AR」フィルターを使うと、バーチャルで日本代表のユニフォームを着た姿を撮影できます。
事例②|Snapchat
「Snapchat」は、写真や動画にスタンプやフィルターを付けられるメッセージアプリです。AR機能を使って、顔に動物の顔やマスクを付けたり、周囲の景色に仮想オブジェクトを配置したりできます。
ハロウィンやクリスマスなど、イベントに合わせたフィルターや、キャラクターや動物に変身できるフィルターが人気です。
事例③|SNOW
「SNOW」は、顔交換や美肌フィルターなどが楽しめるカメラアプリです。AR機能を使って、バーチャルメイクをしたり、仮想のアクセサリーを付けたりできます。
自分の子供の顔を予測して表示するフィルターや、動物の耳などを顔につけられるフィルターなど、ユニークなフィルターが豊富に揃っています。
事例④|TikTok
TikTokは、音楽に合わせて短い動画を投稿・共有できる、エンターテイメント性の高いSNSです。
ダンスや歌のパフォーマンスを華やかにするエフェクトが豊富で、背景を変えたり、エフェクトで遊んだりして、クリエイティブな動画を作成できます。
また、「Eggstreme Duck Dash 2」のように、エフェクトとゲームが組み合わさり、ARで遊べるコンテンツも提供されています。
今はアプリをダウンロードしなくても楽しめるARカメラがある
ここまで、広く使われているARカメラアプリをご紹介してきました。
アプリのカメラで提供されるARもたくさんありますが、実はアプリを使わなくても、ARカメラサービスを体験できます。ここでは、アプリ不要のARカメラサービスと、それを作るツールをご紹介します。
ツール①|palanARカメラ
アプリをダウンロードせずに、Webブラウザ上で誰でも簡単にAR体験を楽しめるサービスがあります。
例えば、「palanARカメラ」では、ARフォトフレームやスタンプを使って写真を装飾したり、フィルター機能を使って様々な効果を写真に適用したりできます。
ツール②|palanAR
「palanAR」は、コードを書かずにオンラインでWebARを作成できるツールです。
無料プランから利用できるため、ARを使った名刺やプロモーションなどを、少ない予算でも作成できます。
例えば、じゃがりこのプロモーションとして、「溢れるキモチをARに!じゃがりこ秘密のメッセージ」というサービスが提供されました。
ユーザーは、じゃがりこのパッケージに記載されているQRコードを読み込むことで、ARエフェクトを使って写真を撮影できます。
まとめ
ARカメラアプリについて、概要や種類、事例などをご説明してきました。
聞き覚えのあるアプリや、驚くような機能を持つARカメラアプリやサービスもあったのではないでしょうか。
ARカメラはゲームだけでなく、教育やプロモーションなど、様々な分野で活用されています。
ARを使った企画を検討する際は、これらの事例を参考に、「どういった目的で、どんな技術を、どのように扱うか」を把握することが重要です。
似た事例を参考にするだけでは、目的や体制、技術に関する知見が異なるため、表面的に施策を真似ても実行が難しい場合があります。
ぜひ、どのような技術が使われているか、事例を参考にしながら、AR施策の実行・改善にお役立てください。
さらにARを活用した事例集にご興味がある方はぜひこちらのAR活用事例50選もご覧ください。