スマートグラス「Ray-Ban Meta」とは?仕様・特徴まとめ!

はじめに

2023年に登場した「Ray-Ban Meta」は、Meta(旧Facebook)とサングラスブランドのRay-Banが共同開発した最新のスマートグラスです。​発売直後から高い注目を集め、世界中で売れ行きを伸ばしており、スマートグラス市場のトレンドを牽引する存在となっています。​

本記事では、「Ray-Ban Meta」とは何なのか、その特徴や機能、生活やビジネスへの影響について詳しく解説します。​

概要

Ray-Ban Metaとは?

Ray-Ban Metaは、MetaとRay-Banが共同開発したスマートグラスの最新モデルです。​写真や動画の撮影、音楽の再生、通話、音声アシスタントとの連携といった機能を搭載しており、見た目はファッションアイテムとしてのサングラスのように自然なデザインでありながら、先端技術が詰め込まれています。​

AR機能は備えていませんが、日常生活に溶け込むスマートグラスとして高い評価を得ています。

価格、発売日、購入方法

Ray-Ban Metaは、2023年10月に海外で発売され、2025年現在、一部の地域でのみ正式に販売されています。​価格はモデルによって異なりますが、基本モデルであれば299ドル(約4.5万円)から、調光レンズや度付き対応レンズのモデルになると379ドル(約5.7万円)〜となります。​

購入・使用が可能な国は?

現在はアメリカなど一部の国でのみ購入が可能です。

  • オーストラリア
  • オーストリア
  • ベルギー
  • カナダ
  • デンマーク
  • フィンランド
  • フランス
  • ドイツ
  • アイルランド
  • イタリア
  • ノルウェー
  • スペイン
  • スウェーデン
  • 英国
  • 米国本土(アラスカ州とハワイ州を含む)

※2025/03/28時点の情報

https://www.meta.com/ja-jp/help/ai-glasses/4961066940605960/?srsltid=AfmBOopnrIzbFuYwZuHjyfFHyAgjqbSLtgVD95XZYoCk8k974is22KjG

日本での購入方法:どこで買える?

2025年3月時点では、日本国内での公式発売はまだされておらず、日本語UI対応やMeta AIの連携も行われていません。​ただし、輸入品サイトや海外ECサイトを通じて個人輸入での購入は可能です。​購入時にはコピー品等に注意する必要があります。​

また、Ray-Ban Metaは日本の「技術基準適合証明」(通称:技適)も取得されていないデバイスのため、手続(届出)を行う必要があります。

参考:総務省 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/exp-sp/

スペック、仕様

以下はRay-Ban Metaの主なスペック一覧です。

  • 取得画像:3024×4032ピクセル
  • 取得動画:1440×1920ピクセル @30 fps
  • スピーカー:​カスタムメイドスピーカー(オープンイヤー) x 2
  • マイク:カスタム5マイクアレイ(左側アーム x 2、右側アーム x 2、ノーズパッド x 1)
  • バッテリー:​1回の充電で約4時間、ケースと併用で最大36時間 ​
  • 通信:​Bluetooth 5.2、Wi-Fi 6 Certified
  • レンズ:度付きレンズにも対応。​クリア、調光レンズ(Transitions)から選択可能
  • フレーム重量:​49g〜50g(レンズのサイズによる) ​
  • 対応OS:​iOS、Android
  • 対応デバイス:Apple iPhone、Google Pixel、Samsung Galaxy(執筆時点)
  • メモリ:32GBフラッシュストレージ(写真500枚以上、動画(30秒) 100本以上)

※製品ページを参考
Meta公式サイト:https://www.meta.com/jp/ai-glasses/
Ray-Ban公式サイト:https://www.ray-ban.com/japan?cid=RB-RIC_toJP_fromUS

日常的に身につけるデバイスとしては十分なスペックを持ち、従来のスマートグラスと比較しても、デザイン性と機能性のバランスが優れています。​

Ray-Ban Meta開発背景

Ray-Ban Metaの開発には、Metaが旧名のFacebook時代から注力してきた「いつでもどこでも人々がつながりを感じられるツールを構築する」というミッションが背景にあります。​MetaはVR/MRヘッドセット「Meta Quest」シリーズでXR領域をリードしてきましたが、日常生活に溶け込む軽量・コンパクトなスマートグラスの開発にも取り組んできました。​

過去のスマートグラス:「Ray-Ban Stories」とは?

2021年に登場した「Ray-Ban Stories」も、Ray-Banブランドを所有するEssilorLuxottica社とMetaとのパートナーシップによって開発されたスマートグラスでした。

Wall Street Journalの記事によると、販売台数は2023年8月時点で約30万台前後であり、月間アクティブユーザー数は2万7000人と、使い続けたユーザーは約10%に留まりました。

製品としてのポテンシャルは感じられたものの、カメラによるプライバシー侵害の懸念、画質や音質の低さやバッテリー寿命の短さなどが普及の壁になったと考えられます。

なぜRay-Ban Metaが開発されたのか?

MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、スマートグラスが将来的にスマートフォンに取って代わる主要なデバイスになると予測しています。Ray-Ban Metaも「10億から20億人が日常的にグラス型デバイスを身につけている未来」を実現するためのひとつの手段として開発されたと推測されます。

参考:マーク・ザッカーバーグがARグラスが携帯電話に取って代わると考える理由
https://www.theverge.com/24253481/meta-ceo-mark-zuckerberg-ar-glasses-orion-ray-bans-ai-decoder-interview

特徴

Ray-Ban Metaの特徴について紹介していきます。

1. AIとの連携が可能

Ray-Ban Metaは、Metaが開発したMeta AIとの連携機能を搭載しています。見ているものについてMeta AIに質問することや翻訳することが可能です。

■Meta AIへの質問の例

  • 「Hey Meta, tell me about this monument (Hey Meta、あの記念碑について教えて)」
  • 「Hey Meta, summarize this (Hey Meta、これを要約して)」
  • 「Hey Meta, translate this text into English (Hey Meta、このテキストを英語に翻訳して)」
  • 「Hey Meta, describe this landscape in an inspiring way (Hey Meta、この風景を魅力的に説明して)」
  • 「Hey Meta, how much water these flowers need (Hey Meta、この花にはどれくらい水が必要なのか教えて)」

https://www.meta.com/ja-jp/help/ai-glasses/718045509827730/

ただし、日本ではこのAI機能はまだ利用できません(2025年3月時点)。アメリカやカナダなど一部の地域限定での提供にとどまっており、今後のアップデートが期待されます。

Ray-Ban Metaに関する開示事項 – 追加情報
https://www.meta.com/jp/legal/ray-ban-meta/disclosures/

2.日常にシームレスに溶け込む機能

Ray-Ban Metaの魅力は、機能面が“自然に生活に溶け込む”点にあります。これらのような機能をハンズフリーで行うことができます。

主な機能一覧:

  • 音楽の再生・停止・音量調整
  • ハンズフリー通話(マイク・スピーカー内蔵)
  • 写真・動画撮影
  • Meta ViewアプリからSNSシェア(Instagram/Facebook)
  • ライブストリーミング配信

例えば、歩いているときでも「Hey Meta, take a picture」と言えば、グラスから自分の目線で写真が撮れます。従来のスマホカメラでは得られない“主観的な記録”として、ユニークな写真が撮影できます。

また音量はフレームをなぞるだけで調節することができ、声が出せない場面でもスムーズに調整が可能です。

3.洗練されたデザイン、掛け心地の良さ

Ray-Ban Metaは以下の3種のフレームが展開されており、どれもガジェット感のない洗練されたデザインになっています。

  • Wayfarer(ウェイファーラー)
  • Headliner(ヘッドライナー)
  • Skyler(スカイラー)

カラーバリエーションもフレームやレンズの組み合わせで10色以上あり、スマートグラスとは思えない豊富さを誇ります。

多機能ながらフレームが重くなることもなく、快適な掛け心地を実現しています。

4.Transitionsレンズ

特筆すべきはトランジションズ オプチカル社のTransitions(トランジション)レンズも装着可能な点です。このレンズは室内ではクリア、屋外では自動でサングラスに変化 という調光機能を持つレンズで、常に最適な視界とデザイン性を保ちます。

グラスをかけっぱなしにしたいユーザーにとっては、非常に実用性の高い機能と言えるでしょう。

何がすごい?何ができる?

何がすごい?

Ray-Ban Metaは、発売から半年で200万台以上を販売したと公式に発表されています。

2025年2月13日に行われたEssilorLuxottica社の2024年第4四半期の収益報告会で、CEOフランチェスコ・ミレリ氏は大成功だと述べ、この成功を受けて主に中国と東南アジアの施設で、2026年末までに生産能力を年間1,000万台に拡大する計画を発表しています。

参考:https://www.essilorluxottica.com/en/cap/content/245064/

この成功の背景には、

  • スマートグラスに見えない自然なデザイン
  • SNS時代にマッチした機能性
  • AIの進化によるAI連携体験の向上

といった要因が挙げられます。

「自然に使えるスマートグラス」として、業界の裾野を広げたという意味でも意義深い製品です。

何ができる?

ハンズフリー通話

内蔵されたマイクとスピーカーにより、スマートフォンを取り出すことなく、クリアな音声で通話が可能です。料理中や作業中など、両手が塞がっている場面でも、音声コマンドやフレームのタッチ操作で応答できます。

 写真・動画の撮影

音声またはフレームにあるボタンのタップで即座に撮影が可能。両手を自由に使いながら、見ているものをそのままの視点で撮影することができます。例えば、料理中の手元を動画で記録したり、子供と遊んでいる様子を写真に収めたりと、様々なシーンで活躍します。

音楽の再生

スマートグラスのフレーム部分にスピーカーが内蔵されており、音声コマンドもしくはフレームをタップするだけで耳を塞がずに音楽を楽しむことができます。周囲の音を遮らず音楽を聴けるため、ランニングや散歩などのアクティビティ中でも安全に音楽を楽しめます。また、周囲の音と音楽をミックスして聴くことができるので、新しい音楽体験が可能です。

SNS連携

撮影した写真や動画は、専用アプリ「Meta Viewアプリ」を経由してInstagramやFacebookなどのSNSに直接投稿できます。スマートフォンを取り出す手間なく、スマートグラスだけでコンテンツの撮影から共有までをスムーズに行えるため、リアルタイムな情報発信が可能です。旅行先での風景やイベントの様子などを、その場の臨場感とともにSNSで共有できます。

ライブ配信

グラスをかけた状態で、「目線のまま」ライブ配信ができるため、視聴者は配信者の視点をリアルタイムで共有できます。これにより、臨場感あふれるライブ配信が可能になり、旅行先の風景やイベントの様子などを、視聴者も一緒に体験しているような感覚で共有できます。

Meta AIの活用

「Hey Meta…」と話しかけることで今見ているものについてMeta AIに質問し、施設の説明を受けることや看板やメニューの文字を翻訳することが可能です。

注意点:AR機能はない

ARディスプレイはなく、ARグラスのように、視界にデジタル情報を重ねて表示する機能は持ち合わせていません。日常生活における「撮る・聴く・話す」という基本的な動作を、よりスマートに、そしてスタイリッシュに実現することに特化しています。

 

Ray-Ban MetaのYouTubeチャンネルには動画やショートでさまざまな場面での使い方が紹介されています。

https://www.youtube.com/@raybanmetaofficial/videos

ビジネスへの影響

Ray-Ban Metaは、通話や写真撮影、ライブ配信など、個人的なユースケースがメインのデバイスとなっています。ARディスプレイもないため、ナビゲーションやコンテンツの表示には機能不足とも言えます。

利用できるAIもMeta AIに限られるため、自社のサービスや施設、観光地について、個別に学習させることも難しくなっています。

一般的な情報で説明や翻訳を行うことはできるため、簡易的な案内ツールとしては活用ができるでしょう。

 

また、日本でも発売が開始された場合、スマートグラスやARグラスなどグラス型デバイスの認知を一気に広める可能性があります。

企業や自治体は、グラス型デバイスが普及することを視野に入れ、新たな事業展開やプロモーション戦略を検討する必要があるでしょう。

おわりに

Ray-Ban Metaは、自然なデザインや掛け心地でありながら、スマートグラスの便利さを私たちの“今”の生活に根付かせる革新的な製品です。

ファッション性と実用性、AIとの連携、SNS時代への最適化など、様々な要素が自然に融合されています。今後、日本でも発売が開始された場合、日本国内でもスマートグラスの普及が一気に進む可能性を秘めたデバイスです。

日本を含めた各国での発売開始時期、AI機能時期など、今後の展開に注目です。

palanについて

本メディアを運営するpalanでは、XREAL、MiRZA、dynaEdge XR1をはじめとした、ARグラス、XRデバイス対応のコンテンツ開発も行っています。

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