はじめに
近年、VR/AR/MR(総称してXR)技術は急速に進化し、エンターテインメントからビジネスまで、幅広い分野で活用されるようになりました。
その中でも、Meta社が開発したMeta Questシリーズは、全世界で高い人気を誇るVR/MRヘッドセットです。
最新モデルであるMeta Quest 3は、革新的なMR(複合現実)体験を提供し、ビジネスシーンでも注目を集めています。
本記事では、Meta Quest 3の特徴やできること、最新のビジネス活用事例などを詳しく解説します。
概要
Meta Quest 3とは?
Meta Quest 3は、Meta社が2023年10月に発売したVR/MRヘッドセットです。前モデルのMeta Quest 2から大幅にスペックアップし、より自然で快適なMR体験を実現しています。高解像度のフルカラーパススルー、高性能なプロセッサー、進化したハンドトラッキングなど、数々の革新的な機能を搭載しています。
価格、発売日、購入方法
発売から約1年後の2024年9月に廉価版の「Meta Quest 3S」が発売されたことを受け、128GBモデルは販売が終了し、512GBモデルは1.5万円値下げされました。
- 128GBモデル:74,800円(税込)※販売終了
512GBモデル:96,800円→81,400円(税込) - 発売日:2023年10月10日
- 購入方法:Meta公式サイト、Amazon、家電量販店などで購入できます。
※記事執筆時(2025年3月31日)時点
スペック、仕様
製品ページを元にしたMeta Quest 3のスペック、仕様はこちらになります。
- プロセッサー:Snapdragon XR2 Gen 2
- 解像度:片目あたり2064 x 2208ピクセル
- 光学系:パンケーキレンズ
- リフレッシュレート:72Hz、90Hz、120Hz
- 視野角:水平110度、垂直96度
- DRAM:8GB
- 通信機能:Wi-Fi 6E認定(一部地域のみ)
- 重量:約515g
- バッテリー駆動時間:約2.2時間
- アイトラッキング:非搭載
- MRパススルー:フルカラーパススルー
- ハンドトラッキング:対応
- コントローラー:Meta Quest Touch Plusコントローラー
参照:https://www.meta.com/jp/quest/quest-3/
2. Meta Quest 3の開発背景
Meta社は、VRハードウェアメーカーOculusを創業1年半という早期に買収したこと、社名を「Facebook」から「Meta」へ変更したことからもわかる通り、VR/AR/MR技術の発展に大きく注力・貢献してきた企業です。過去には、Oculus Quest、Meta Quest 2、Meta Quest Proなど、革新的なVRヘッドセットを開発してきました。Meta Quest 3は、これらの開発で培われた技術とノウハウを基に、次世代のMR体験を提供するために開発されました。
特徴
初のマスマーケット向け次世代MRヘッドセットである

Meta Quest 3は、価格と性能のバランスが優れており、一般消費者向けに開発された初の次世代MRヘッドセットと言えます。事前予約開始時のリリースでも、「世界初のマスマーケット向け複合現実ヘッドセット」と述べられています。
https://www.meta.com/ja-jp/blog/meta-quest-3-pre-orders-asgards-wrath-2-bundle-vr-mr-headset-price/
高性能なスペックを持ちつつ、10万円以下という価格で、一般消費者でも購入・体験しやすくなっています。
高解像度のフルカラーパススルーによる、クオリティの高いMR体験が可能
Meta Quest 3は、Qualcomm Technologies社と共同で開発したSnapdragon XR2 Gen 2プラットフォームを搭載した世界初のデバイスです。グラフィック処理能力はMeta Quest 2の2倍に向上し、よりリアルで滑らかな映像を表示できます。
また、4Kを超えるInfinite Displayにより、Questシリーズ全体で最高の解像度を実現し、よりクリアで美しい映像を楽しめます。
体験できるアプリが豊富
Meta Questシリーズは、全世界で多くのユーザーに利用されており、他デバイスと比べても豊富なVR/AR/MRアプリが提供されています。ゲーム、エンターテインメント、ビジネスなど、幅広い分野のアプリを体験できます。
Road to VRの記事によると、2024年5月時点で2,860以上のアプリが公開されています。
https://www.roadtovr.com/meta-quest-app-lab-merge-app-count/
デザイン、バランス、装着感
Meta Quest 3は、Meta Quest 2よりも薄型になり、装着感が向上しました。カスタマイズ可能なフィット感とバランスの取れた重量配分により、長時間の使用でも快適に過ごせます。
ハンドトラッキングや空間認識の進化、Touch Plusコントローラーも薄型化

ハンドトラッキングの精度が向上し、また、空間認識技術も進化し、より正確なMR体験を実現しています。Touch Plusコントローラーも薄型化され、操作性が向上しました。
4. Meta Quest 2との違い
Meta Quest 3は、前モデルであるMeta Quest 2から大幅に進化しており、様々な点で違いが見られます。
4-1.スペック
Meta Quest 3は、プロセッサー、解像度、RAMなど、多くのスペックが向上しています。
- プロセッサー: Meta Quest 3は、Qualcomm Snapdragon XR2 Gen 2プラットフォームを搭載しており、Meta Quest 2のSnapdragon XR2 Gen 1プラットフォームと比較して、グラフィック処理能力が2倍に向上しています。これにより、よりリアルで滑らかな映像を表示できます。
- 解像度: Meta Quest 3は、片目あたり2064 x 2208ピクセルという高解像度を実現しており、Meta Quest 2の1832 x 1920ピクセルと比較して、約30%向上しています。これにより、よりクリアで美しい映像を楽しめます。
- RAM: Meta Quest 3は、8GBのRAMを搭載しており、Meta Quest 2の6GBと比較して、よりスムーズな動作を実現しています。
4-2. MR機能の進化
また、Meta Quest 2はモノクロパススルーであったのがフルカラーパススルーになるなど、より多様なMR体験できる機能が大幅に向上しています。
- フルカラーパススルー: Meta Quest 2はモノクロパススルーのみでしたが、Meta Quest 3は、高解像度のフルカラーパススルー機能を搭載しています。ヘッドセットを装着したまま、周囲の状況を自然に確認したり、現実世界の物体とバーチャルなオブジェクトを融合させたMR体験を楽しむことができます。
- 深度センサー: Meta Quest 3は、深度センサーを搭載しており、現実世界の空間をより正確に認識できるようになりました。
- 空間認識: Meta Quest 3は、空間認識技術が進化し、現実世界の物体や壁などをより正確に認識できます。
4-3. デザイン、装着感の向上
Meta Quest 3は、デザインや装着感もMeta Quest 2から向上しています。
- 薄型化、軽量化: Meta Quest 3は、Meta Quest 2よりも薄型になり、重量も軽くなっています。長時間の使用でも快適に体験することができます。
- バランスの調整: 重量バランスが調整されており、より安定した装着感を実現しています。
- カスタマイズ可能なフィット感: 様々な顔の形や大きさに合わせて、フィット感を調整できます。
4-4. コントローラーの進化
Meta Quest 3のコントローラーであるTouch Plusコントローラーも、Meta Quest 2のTouchコントローラーから進化しています。
- 薄型化: Touch Plusコントローラーは、Touchコントローラーよりも薄型になり、より自然な操作感を実現しています。
- ハンドトラッキングの向上: ハンドトラッキング機能が向上しており、ハンドジェスチャーの精度が向上しています。
4-5. 価格
価格は、128GBモデルで比べると、Meta Quest 2が約3.2万円、Meta Quest 3が約7.5万円と、Meta Quest 2よりも4.3万円高くなっています。Meta Quest 3が多くの点でMeta Quest 2よりも高性能であるためと考えられます。
■Meta Quest 2
64GB 37,180円(税込)128GB 31,900円(税込)256GB 46,200円(税込)
※どのモデルも販売終了
■Meta Quest 3
128GBモデル:74,800円(税込)※販売終了、512GBモデル:96,800円(税込)
→81,400円(税込)
4-6.比較表
Meta Quest 2とMeta Quest 3の違いを表にまとめると以下のようになります。
Meta Quest 2 | Meta Quest 3 | |
プロセッサー | Qualcomm Snapdragon XR2 Gen 1 | Qualcomm Snapdragon XR2 Gen 2 |
解像度 | 片目あたり1832 x 1920ピクセル | 片目あたり2064 x 2208ピクセル |
DRAM | 6GB | 8GB |
視野角 | 水平90度、垂直90度 | 水平110度、垂直96度 |
光学系 | フレネルレンズ | パンケーキレンズ |
リフレッシュレート | 60Hz、72 Hz、80 Hz、90 Hz、120Hz | 72Hz、90Hz、120Hz |
パススルー | モノクロパススルー、画素数非公開 | フルカラーパススルー、約400万画素 |
深度センサー | 非搭載 | 搭載 |
コントローラー | Touchコントローラー | Touch Plusコントローラー |
バッテリー駆動時間 | 最大2時間 | 最大2.2時間 |
重さ | 約503g | 約515g |
価格 | 64GB 37,180円(税込)
128GB 31,900円(税込) 256GB 46,200円(税込) ※どのモデルも販売終了 |
128GBモデル:74,800円(税込)
→販売終了 512GBモデル:96,800円(税込) →81,400円(税込) |
※記事執筆時(2025年3月31日)時点
5. 他のHMDとの比較、違い
Meta Quest 3以外にも、様々なVR/AR/MRヘッドセットが販売されています。ここでは、価格帯や用途の近いPICO 4 Ultra、HTC VIVE XR Eliteとの比較を簡単にご紹介します。
どちらもスペックはMeta Quest 3に近い部分がありつつ、アプリの豊富さなどから、最もマスマーケット向けであるのはMeta Quest 3といえます。
PICO 4 Ultra

- 中国のPICO社が開発したVRヘッドセット。(2021年にPICO社をByteDance社が買収)
- Meta Quest 3と同様に、スタンドアロンで利用できる。
- スペック:Meta Quest 3と同じQualcommのSnapdragon XR2 Gen 2を採用、パネル解像度は片目2160×2160ピクセルなどスペックはMeta Quest 3に近い。
- 価格:256GBで89,800円と、512GBモデル:81,400円(税込)のMeta Quest 3と価格帯は近い。
- 11,800円(税込み)の「PICO Motion Tracker」を両足首に着けるだけで、安価にフルトラッキングを楽しめる点が特徴。
- IMU(慣性計測ユニット)センサー、赤外線センサーがトラッカーの動きを認識し、マルチモーダルAIトラッキングアルゴリズムによって身体の24箇所の骨格ポイントの動きを推定
- Meta Quest 3の場合は他社外部トラッキングデバイスを別途購入や、推定トラッキングの設定が必要。
https://www.picoxr.com/jp/products/pico4-ultra
HTC VIVE XR Elite

- 台湾のHTC社が開発したVRヘッドセット。
- Meta Quest 3と同様に、スタンドアロンで利用できる。
- スペック: QualcommのSnapdragon XR2 Gen 1を採用しており、パネル解像度は片目1920 x 1920ピクセル、12 GB RAMなど、スペックはMeta Quest 3よりやや劣る部分と、勝る部分がある。
- 価格: 128GBで164,000円(税込)と、512GBモデル:81,400円(税込)のMeta Quest 3と比べると価格帯は高め。
- 別売りの「VIVEトラッカー(Ultimate)」は最大5台のトラッカーを同時に使用でき、精度の高いマルチポイントフルボディトラッキングが可能。OpenXR、SteamVRベースのPC VRに対応しており、既存のVIVEトラッカー対応PCコンテンツとの互換性もある。
- 「VIVEフルフェイストラッカー」によってアイトラッキング、フェイストラッキングが利用できる点も特徴。
- Meta Quest 3はアイトラッキング、フェイストラッキングは非搭載。Meta Quest Proではアイトラッキング、フェイストラッキングが可能。
https://www.vive.com/jp/product/vive-xr-elite/overview/
5.ビジネスへの影響、活用が進む理由
Meta Quest 3は、以下の4点からビジネスでの活用が進んでいます。
- 価格と性能のバランスが優れている
- 一般層にも普及しつつあり、馴染みやすい
- Horizonエコシステムにより、コンテンツが豊富
- 法人向けサポートが充実している
① 価格と性能のバランスが優れている
Meta Quest 3がビジネスシーンで普及が進む大きな要因の一つは、優れた価格と性能のバランスです。従来のVR/MRデバイスは、高性能を追求するあまり高価格帯に位置づけられ、企業が導入するには大きな投資が必要となるケースが少なくありませんでした。
もしくは、前モデルのMeta Quest 2のように、価格としては抑えられているものの、MR体験面ではスペック不足のものが多くなっていました。
Meta Quest 3は、高性能でありながらも導入しやすい価格帯を実現しており、企業のVR/MR技術導入を加速させる上で重要な役割を果たしています。
②一般層にも普及しつつあり、馴染みやすい
Meta Quest 3はゲームやエンターテイメント用途に適している他社デバイスに比べ、一般消費者市場でも普及が進んでおり、馴染み深く、使いやすいデバイスとなっています。
この使いやすさは、企業がQuest 3を導入する際の障壁を大幅に下げます。
従業員は、新しいデバイスの操作方法を習得するための時間や労力を削減でき、業務へのスムーズな移行が期待できます。また、企業担当者側も、基本的な操作や機能を理解しやすいため、導入計画の立案や運用管理が容易になります。
③ 豊富なコンテンツ
Metaからは、Horizon Worlds、Horizon Workroomsをはじめとするプラットフォームやアプリケーションが提供されており、ビジネスシーンで求められるニーズに対応できるコンテンツが揃っています。
またサードパーティ製のアプリも、ゲームやエンターテイメントだけでなく、教育、語学学習、トレーニング、コラボレーションなど、様々な分野で活用できる豊富なコンテンツがあり、研修で活用したり、自社コンテンツや新規事業の着想を得るための参考にしたりすることができます。
このように、Metaやサードパーティ製の豊富なコンテンツは、ビジネスシーンにおけるMeta Quest 3の可能性を大きく広げており、企業のVR/MR活用を強力に後押ししています。
④法人向けソリューション「Meta Horizon Managed Solutions」

Meta Quest 3には、法人・教育機関向けの「Meta Horizon Managed Solutions」という包括的なソリューションがあります。管理者用のアカウント管理、デバイス設定、セキュリティ管理など、法人利用に必要な機能を提供し、サポートを受けることができます。
参考:https://forwork.meta.com/jp/meta-horizon-managed-solutions/
6. ビジネス活用事例
Meta Quest 3をビジネスで活用している日本国内の事例を紹介します。
6-1.BtoC
Lacoste「世界最小のゴルフ場 by Meta Quest」

Meta Questとゴルフウェアをはじめスポーツファッションを展開している「Lacoste」がコラボレーションし、「Lacoste Harajuku」店内に、バーチャル空間でゴルフが楽しめる「世界最小のゴルフ場」を設置しました。
ポップアップスペースでは、クラップハンズ社の新作タイトル『アルティメット スイング ゴルフ』を先行体験することができ、体験者にはコラボレーションロゴステッカーや、抽選でMeta Quest 3、オリジナルロゴ付きのLacosteポロシャツがプレゼントされる企画も実施されました。
https://about.fb.com/ja/news/2024/04/the-worlds-smallest-golf-course/
東京ドームシティ「VR/MRスポーツパーク」

東京ドームシティ内黄色いビル2階にMeta Questの人気スポーツタイトルが体験できる「VR/MRスポーツパーク」が期間限定でオープンしました。
また、2024年2月16日(金)よりテレ東・BSテレ東で放送された、「テレビ東京開局60周年特別企画 世界卓球2024 団体戦」とコラボレーションし「VR卓球」も実施されました。
https://about.fb.com/ja/news/2024/01/vr-mr-sports-park/
三井不動産レジデンシャル株式会社 モデルルーム案内ツール

バーチャルとリアルを融合させた販売拠点「三井のすまい 池袋サロン」に設置されている、最大幅約7mの3面LEDビジョンを壁および床に配置したVRモデルルーム上に、Meta Quest 3を活用して3D家具の設置が行えるツールです。
バーチャルに実際の「広さ」を融合させ、歩きながら実際の大きさや距離を把握することができます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000644.000051782.html
THE FACT MUSIC AWARDS EXHIBITION B★VERSE(BTS、星を歌う)

「B★VERSE(BTS、星を歌う)」は、K-POPグループ BTSのパフォーマンスをリアルに感じることができるVR体験型特別展示会です。
世界で初めてMeta Quest3 を135台同時接続し、全員が最前列にいるかのように体感することができます。

ベルサール⽻⽥空港での初開催に加え、第⼆回⽬の寺⽥倉庫 G1ビル、第三回⽬の⼤阪・京セラドーム⼤阪など、東京・大阪・福岡の全国各地で開催されました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000071662.html
6-2.BtoB
エスユーエス 医療機関向けのXRコンテンツ

株式会社エスユーエスが開発した、株式会社カワニシバークメドの医療機関向け自動精算機「テマサック」の製品プロモーションツールです。Meta Quest 3を活用し、製品の3Dモデルを現実空間に立体的に表示し、自分の手で好きな場所に配置して、精算処理などの操作体験を行うことが可能です。
実機がなくても製品の機能を十分に理解し、製品の魅力である「簡単操作」と「業務効率化」をMRで体験することができます。
https://www.sus-g.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/press-release_01.pdf
7. まとめ
Meta Quest 3は、革新的なMR体験を提供するVR/MRヘッドセットです。高性能なスペック、豊富なアプリ、快適な装着感など、多くの魅力を備えています。価格と性能のバランスが優れていることから、ビジネスシーンでも、様々な分野での活用が進みつつあり、業務効率化、顧客体験向上、コスト削減などに貢献します。
Meta Quest 3は、VR/MR技術を活用したビジネス変革を検討している企業にとって、強力なツールとなるでしょう。
palanAR for Questについて
本メディアを運営するpalanが開発するノーコードAR作成ツール「palanAR」はMeta Questシリーズにも対応しています。
palanARで作成したコンテンツを簡単にMeta Questで体験することができます。
参考:https://studio.palanar.com/news/wHnFlgKg
「palanAR for Quest」がポータルARに対応。Meta Quest 3向けのMR作成が容易に!
https://palan.co.jp/news/palanAR_for_Quest
palanについて

本メディアを運営するpalanでは、Meta Quest 3をはじめとしたMRデバイスでのコンテンツ開発も行っています。
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