ARの技術に関して調べたことのある方の中には、「LiDAR」という単語を見たことのある方も多いのではないでしょうか。何のことかわからない、よく知らないという方も多いと思います。本記事ではそんなLiDARについて解説していきたいと思います。
LiDARとは?
LiDAR(ライダー)とは、Light Detection And Ranging(光による検知と測距)の略称です。対象物に光をパルス状に照射し、反射してきた光をセンサーで捉えることで、光が戻ってくる時間や位相差から距離を測定する方法のことを指します。
似たような技術として、電波を用いて反射を捉える技術である「レーダー」がありますが、LiDARでは電波ではなく光を用いているところに大きな違いがあります。
LiDARを使用することで高い精度で物体の大きさ、形状、位置などを測定することができます。そのためLiDARの技術は元々、精密な3Dマップの作成や、地形や建物の状況を把握するためといった、測量などの分野で主に使用されてきました。
近年では自動運転やロボット掃除機などでも用いられており、様々な分野での応用が期待されています。
ARにおけるLiDAR
AR業界で「LiDAR」という言葉を使用するとき、技術そのものを指すこともありますが、LiDARを使用するためのセンサーや機能などを含めた広い意味で使用されることもあります。
プレイヤーの中では特にAppleがLiDARと関連技術に力を入れており、記事執筆時点ではiPhone12、13の Pro/ProMaxシリーズや、iPad Pro(2020年モデル)に搭載されています。LiDARを用いることで短時間かつ正確に顔や手、物体のトラッキングを行うことができます。
LiDARの有無による精度の差は大きく、3Dスキャナーやカメラアプリをはじめとする様々なアプリで実感できます。例えば3Dスキャンの場合、LiDAR非搭載の端末では様々な角度から何十枚も写真を撮る必要があるところを、LiDAR搭載端末ではぐるりと一周するだけでスキャンが完了するといった違いがあります。
対応アプリの多くは、LiDAR非搭載端末でも利用できるものの、搭載端末においてより多くの機能が使用できるようになっています。
逆にいうと、LiDAR搭載のiPhoneでしか体験できない機能が存在していることになるため注意が必要です。LiDAR搭載モデルを所持しているユーザーと所持していないユーザーの間で、体験の格差が生じてしまう可能性があります。
そのため、LiDARに依存しない技術の開発を行なっている企業もあります。例えばAR技術開発のプレイヤーであるNianticは、デバイスに関わらずできるだけ多くの端末で同じ体験ができることを目指しており、積極的に企業買収や技術開発を行なっています。
※Nianticの歩みについてはこちらをご覧ください。
まとめ
本記事ではLiDARについて解説しました。他にもARやVRの業界では様々な専門用語が登場します。6DoFやオクルージョンについては下記の記事で解説しています。是非チェックしてみてください。
参考文献
・ローム株式会社
エレクトロニクス豆知識 LiDARとは?
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/laser-diodes/ld_what10
・日本電産コパル電子株式会社
For LiDAR scanning solution ポリゴンミラー&ポリゴンレーザスキャナ 特集 Vol.2 Chapter 5:LiDAR を分かりやすく解説します
https://www.nidec-copal-electronics.com/j/featuring/lidar-polygon/whats_lidar/