2025年1月17日に、XREAL社より最新ARグラス「XREAL One」が発売開始されました。XREAL社からは過去にも「XREAL Air 2」「XREAL Air 2 Pro」、「XREAL Air 2 Ultra」などのモデルが発表されており、違いは何なのか、疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、スペックや特徴といった基本的な情報から、他モデルとの違い、ビジネス活用での可能性について解説していきます。
XREAL Oneとは?

XREAL Oneとは、XREAL社より発売された最新ARグラスです。AR業界初(XREAL社調べ)の自社開発空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載していることが大きな特徴です。
発売日・価格・購入方法
2024年12月11日に発表・予約開始され、2025年1月17日から販売が開始されました。
価格は69,980円(税込)で、公式サイトやAmazonなどの通販サイト、販売店にて購入することができます。
公式サイト:https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-one
取り扱い販売店:https://www.xreal.com/jp/air/stores/
XREAL Oneの主な仕様・特徴
XREAL OneはXREALの過去モデルや、従来のARグラスと比べ、以下のような特徴があります。
- 自社開発の空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載、3msの低遅延
- 3段階の調光機能・自動調光機能
- 50°FOVの大きな視野角
- ウルトラワイドスクリーン(32:9)や、ブレ補正、サイドモードにも対応
- フルワイドとハーフワイド3D動画の両方を視聴可能
それぞれの特徴について解説していきます。
自社開発の空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載

従来のARグラスは他社製のチップが搭載されることが一般的でした。
XREAL OneにはAR業界初(XREAL社調べ)の自社開発空間コンピューティングチップ「XREAL X1」が搭載されていることが大きな特徴です。
これにより、3DoFを用いた固定大画面体験などの処理を、外部デバイスに依存せずグラス単体で実行できるようになり、また最低3msの低遅延を実現しました。
3段階の調光機能・自動調光機能

XREAL Oneは、ワンタッチで切り替え可能な3段階の調光機能を搭載しています。屋内はもちろん、屋外などの明るい環境でも、快適な視聴体験を提供します。
特に、オフィスワークや、現場作業での利用など、環境光の変化に対応する必要があるビジネスシーンにおいて、XREAL Oneの調光機能は大きなメリットとなります。
また、2月に行われたファームウェアアップデートでは、「自動調光機能」オプションも追加され、固定モード時に視線が画面から外れると、自動的に透明に切り替わるようになりました。
作業中に話しかけられた時など、ふとした瞬間の切り替えの必要もなく、シームレスに利用することができるようになりました。
50°FOVの大きな視野角

XREAL Oneは、50°FOV(Field of View:視野角)というARグラスでは比較的広い視野角を実現しています。これにより、目の前に広がるARコンテンツが、現実世界と自然に融合し、高い没入感を提供します。
ウルトラワイドスクリーン(32:9)や、ブレ補正、サイドモードにも対応
XREAL Oneは、ウルトラワイドスクリーン(32:9)表示に対応し、複数のウィンドウを同時に表示することができます。また、ブレ補正機能やサイドモードも搭載し、マルチタスクを強力にサポートします。
資料作成、データ分析、コミュニケーションなど、複数の作業を同時に行うビジネスシーンにおいて、生産性を大幅に向上させることができます。
Boseとの提携による、繊細で立体的な音響

XREAL Oneは、音響機器メーカーのBoseと提携し、繊細で立体的な音響を実現しています。ARコンテンツの没入感をさらに高め、臨場感あふれる体験を提供します。
例えば、バーチャル会議での音声コミュニケーション、ARを活用したプレゼンテーションなど、高品質な音響体験は、ビジネスコミュニケーションの質を大きく向上させます。
フルワイドとハーフワイド3D動画の両方を視聴可能
また、2月に行われたファームウェアアップデートでは、3Dモードのアップデートも行われ、ハーフワイドSBS(Side-by-Side)形式の3D動画表示に対応しました。これにより、グラス単体でフルワイド3D動画とハーフワイド3D動画の両方を視聴できるようになりました。
他のXREALモデルとの比較
他のXREALモデルとはどのような違いがあるのかを見ていきます。
過去モデルとの違い
違い①XREAL X1 チップが搭載されている
過去モデルと比べた最大の特徴は、自社開発の空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載したことです。過去モデルでは外部デバイスに依存していた処理を、グラス単体で実行できるようになりました。
違い②グラス単体で3DoFに対応、空間固定が可能
XREAL Air2、XREAL Air2 Proで3DoFに対応させるには、別途専用アクセサリー「XREAL Beam」「XREAL Beam Pro」、もしくはXREAL社のグラス用アプリ「Nebula」を搭載したデバイスとの接続が必要でしたが、XREAL Oneはグラス単体で3DoFに対応していることも大きな特徴です。
外部デバイスの持ち歩きや接続の煩わしさがなくなり、利便性が大きく向上しました。
違い③視野角が拡大
XREAL Air2、XREAL Air2 Proが視野角46度であるのに対し、XREAL Oneは、視野角50度を実現しています。より広い範囲で映像を楽しむことができ、没入感・作業効率が向上しました。
※XREAL Air 2 Ultraは視野角52度となっていて、視野角50度のXREAL Oneよりも2度広くなっているため、シリーズ最大ではありません。
違い④ディスプレイ性能の向上
XREAL Oneは、ディスプレイ性能も大幅に向上しています。XREAL Air2、XREAL Air2 Proに比べ、最高輝度が500nitから600nitになり、ディスプレイもSONY製 0.55インチ Micro-OLEDからSONY製 0.68インチ Micro-OLEDと変更されています。
高輝度、高コントラストなディスプレイにより、映像はより鮮明でリアルになりました。
違い⑤高品質なサウンドへ
XREAL Air2、XREAL Air2 Proまでは独自のサウンドシステムが採用されていましたが、XREAL Oneは音響機器メーカーのBoseと提携し、クリアで臨場感あふれるサウンド体験が可能になりました。
過去モデルと比較して、音質、音の広がり、低音の迫力などが向上し、映像と一体化したサウンドを体験できます。
過去モデルとの比較表
過去モデルとの違いを表にまとめると、このようになります。
XREAL Air | XREAL Air 2 | XREAL Air 2 Pro | XREAL Air 2 Ultra | XREAL One | |
発売日 | 2023年6月 | 2023年10月 | 2023年11月 | 2024年1月予約開始、5月出荷開始 | 2025年1月 |
視野角 | 46° | 46° | 46° | 52° | 50° |
重さ | 79g | 72g | 75g | 83g | 82g |
ディスプレイ | SONY製 0.68インチ Micro-OLED | SONY製 0.55インチ Micro-OLED | SONY製 0.68インチ Micro-OLED | ||
解像度 | 400万画素,1920×1080 | ||||
最高リフレッシュレート | 120 Hz | ||||
最高輝度 | 400Nits | 500Nits | 500Nits | 500Nits | 600Nits |
チップ | – | – | – | – | XREAL X1 チップ |
3DoF | 追加デバイスが必要 | グラス単体で利用可能 | |||
6DoF | – | – | – | 追加デバイスが必要 | – |
調光機能 | – | – | 3段階調光モード | 3段階調光モード、 自動調光機能 |
|
サウンド | 第1世代サウンドシステム | 第2世代サウンドシステム | Sound by Bose | ||
価格(税込み) | ¥40,980 | ¥49,980 | ¥59,980 | ¥99,800 | ¥69,980 |
XREAL One Proとの違い

XREAL Oneシリーズには、他にも上位モデルの「XREAL One Pro」がラインナップされています。
2025年3月末にアメリカで出荷を開始する予定で、日本では発売未定となっています。
XREAL OneとXREAL One Proの違いはこのようになっています。
XREAL One | XREAL One Pro | |
発売日 | 2025年1月 | 2025年3月末アメリカで出荷開始 執筆時点では日本未発売 |
視野角 | 50° | 57° |
重さ | 82g | 87g |
ディスプレイ | SONY製 0.68インチ Micro-OLED | |
解像度 | 400万画素,1920×1080 | 400万画素,1920×1080 |
最高輝度 | 600 nits | 700 nits |
最高リフレッシュレート | 120 Hz | |
チップ | XREAL X1 チップ | |
3DoF | 単体で利用可能 | |
調光機能 | 3モードの調光システム、自動調光機能 | 3モードの調光システム (自動調光機能の有無は執筆時点では不明) |
価格(税込み) | ¥69,980 | 599.00ドル(約8.8万円) |
※公式サイトより、2025/03/13時点の情報を元に作成
公式サイト製品ページ:https://us.shop.xreal.com/products/xreal-one-pro
何ができるのか、ビジネスでの活用例
XREAL Oneの大きな特徴は、「追加デバイスなしに、グラス単体で3DoFが使える」という点です。
これまでも専用アクセサリー「Beam」を使うことで3DoFが利用することができましたが、XREAL Oneでは外部アクセサリーとの接続なしに利用できるため、仮想ディスプレイとしてのオフィスワークはもちろん、移動を伴う場面など、さまざまな場面で活用シーンが広がります。
倉庫や工場での作業
例えば倉庫や工場での作業において、画面を空間に固定しない場合、映像が常に視界の中心に表示され、視線を動かすたびに画面が追従し、現実空間での作業との連携が困難になります。
XREAL Oneではグラス単体で3DoF空間固定を利用できるため、作業者は映像を参照しつつ、手元や周囲を見ながら作業することが可能になります。
観光地での道案内や情報提供
例えば観光地での道案内や情報提供を行う際、画面を空間に固定しない場合、映像が常に視界の中心に表示され、視線を動かすたびに画面が追従し、周囲の景色や観光スポットを十分に楽しむことが困難になります。
XREAL Oneでは地図や観光情報を、現実の風景と重ね合わせて情報を確認しながら、自由に観光地を巡ることが可能になります。
例えば、スポットに関する情報を表示させ、景観や内部の様子を観察しながら理解を深めることができます。
その他利用シーン
他にも、このような場面で活用ができます。
- 建築・設計現場での設計図の表示:建築物の設計図を表示し、現場の状況と照らし合わせながら作業することができます。
- 美術館や博物館での展示解説:展示物に合わせた解説や映像を展示物に被らず表示し、より深い鑑賞体験を提供できます。
- 教育現場での教材表示:仮想的な人体模型や宇宙空間を教室に表示し、教師は教室内の様子を確認しながら解説することができます。
- スポーツ分野でのデータ表示: スポーツ選手のパフォーマンスデータや対戦相手の情報を表示し、観戦体験を向上させます。
まとめ
XREAL Oneは、AR業界初の自社開発空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載し、視野角の拡大やディスプレイ性能の向上、高品質なサウンドなど、過去モデルに比べ多くの面で進化が見られます。
ARグラス単体で3DoFに対応していることが大きな特徴で、ビジネスでも活用シーンが大きく広がる可能性をもたらす存在として、今後の展開に注目です。
palanについて

2024年9月に開催された「ツーリズムEXPOジャパン2024」のpalanブース内にて、「XREAL Air 2 Ultra」で体験できる観光AIガイド「SPATIAL GUIDES(スペーシャルガイド)」の展示を行いました。
■SPATIAL GUIDES(スペーシャルガイド)とは
XREAL Air 2 Ultraで体験できる観光AIガイドです。拡張現実(AR) × 人工知能(AI)を掛け合わせることで観光業界の人材不足を解決します。XREALとARを組み合わせることで、現実世界により自然に溶け込んだガイド体験を提供します。
詳細はこちら:https://palan.co.jp/news/20240926_tourism
ARグラス開発について

palanではXREALをはじめとした、ARグラス、XRデバイス対応のコンテンツ開発も行っています。
企画段階からご相談可能ですので、「ARグラスを自社のビジネスにどう活用できるかから相談したい」という場合でもお気軽にお問合せください。
詳細はこちら:https://studio.palanar.com/news/arglass_development
お問い合わせ先:https://studio.palanar.com/contact