ARサービスとは？活用場面やサービス事例をご紹介

私たちの日常に溶け込み始めたAR（拡張現実）技術。スマートフォンをかざすだけで、現実世界にデジタル情報が重なり、ゲームやショッピング、観光など、様々な体験がより豊かに、便利に進化しています。

ARはエンターテインメント分野だけでなく、ビジネスや教育、医療など、幅広い分野で活用され、私たちの生活を大きく変えようとしています。例えば、家具を部屋に仮想的に配置して購入前にイメージを確認したり、観光地で歴史的建造物の情報をARで表示したりと、その可能性は無限大です。

この記事では、ARを活用した代表的なサービスや、ARコンテンツを自分で作成できるツールをご紹介します。ARの最新トレンドを把握し、貴社のビジネスにもARを取り入れることが可能になります。

ARとは？

AR（拡張現実）とは、「Augmented Reality」の略で、現実世界に仮想のオブジェクトや情報を重ね合わせる技術です。

スマートフォンやタブレット、AR専用のヘッドセットなどを通じて利用でき、ゲーム、教育、医療、製造業など、幅広い分野でその活用が進んでいます。

VRとの違い

VR（仮想現実）とAR（拡張現実）は、どちらもデジタル技術を用いて新たな体験を提供しますが、その特性と用途には明確な違いがあります。

VRは、完全に仮想の世界に没入する体験を提供します。ユーザーは専用のヘッドマウントディスプレイ（HMD）を装着することで、現実世界から隔離され、360度全方位に広がる仮想空間に身を置くことができます。

一方、ARは現実世界に仮想の要素を重ねて表示する技術です。ユーザーはスマートフォンやタブレットのカメラを通して現実世界を眺めながら、そこに表示される仮想オブジェクトや情報をインタラクティブに操作できます。

VRとは異なり、ARは専用のHMDを必要とせず、手軽に利用できる点が特徴です。

ARサービスを活用できる主な7つの場面

ARを活用したサービス（以下ARサービス）は大きく分けて以下の表のように整理することができます。これらの内容を以下ではさらに深掘りしていきます。

場面	AR活用の具体例
ゲーム	現実世界と仮想世界を融合させ、没入感を高める。プレイヤーの位置情報を活用し、現実世界を舞台にしたゲーム体験を提供。現実の風景に仮想のキャラクターやアイテムを重ねて表示し、ユーザーとARコンテンツの間で双方向のやり取りが可能。
美容・コスメ	化粧品のお試しをバーチャルで擬似体験できる機能を提供。肌の状態をAR技術で分析し、パーソナライズされたスキンケアの提案。美容院や理髪店での髪型のシミュレーション機能もあり。
不動産・住宅	物件情報に家具や家電を仮想配置し、居住後のイメージをできる。AR技術を用いて部屋のレイアウトや内装のシミュレーションが可能。間取り図に家具を配置するアプリで、インテリアのイメージができる。
災害・防災	避難経路や避難場所の情報をARで表示し、迅速な避難を支援。災害時の被害状況をAR技術で可視化し、救援活動の効率化を狙う。防災教育や訓練にARを活用し、リアルな体験を通じて防災意識を向上。
教育・学習	教科書の内容を立体的に表現し、生徒の理解度を深める（AR教材）。ARを用いて実験や解剖学の学習を立体的に可視化。語学学習に単語やフレーズをARで表示し、現実世界とのつながりを強化。
医療・ヘルスケア	医療従事者のトレーニングや手術のシミュレーションにARを活用。患者への治療方法の説明にARを用いて視覚的に表現。リハビリテーションにARゲームを導入し、患者のモチベーションを向上。
観光・エンターテインメント	観光地の歴史や文化に関する情報をARで現地に表示。テーマパークのアトラクションとARを融合し、没入感を高める演出を実現。美術館や博物館の展示物にARで詳細な解説を提供し、鑑賞体験を深める。

場面①｜ゲーム

https://palanar.com/examples/732

AR技術は、ゲームの世界をさらに進化させます。現実世界と仮想世界を融合させることで、プレイヤーはまるでゲームの中にいるかのような没入感を味わうことができます。

位置情報を利用して現実世界を舞台にしたゲームや、現実の風景にキャラクターやアイテムを重ねて表示するARゲームは、新しいゲーム体験を提供しています。

場面②｜美容・コスメ

ARメイクフィルター：https://studio.palanar.com/facemakeup

AR技術は、美容業界にも新たな風を吹き込んでいます。スマートフォンやタブレットのカメラを通して自分の顔にメイクを施すバーチャルメイクアプリは、実際に化粧品を試すことなく、自分に似合う色やアイテムを見つけることができます。

さらに、肌の状態を分析してパーソナライズされたスキンケアを提案するアプリや、髪型のシミュレーションができるアプリも登場しています。

場面③｜不動産・住宅

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000028239.html

AR技術は、不動産業界においても革新的なサービスを生み出しています。物件情報に家具や家電を仮想配置することで、購入前に家具の配置や部屋の雰囲気を確認することができます。また、AR技術を用いた部屋のレイアウトや内装のシミュレーションは、理想の住まいを具体的にイメージするのに役立ちます。

場面④｜災害・防災

AR技術は、災害時における迅速な対応や防災意識の向上に貢献します。

避難経路や避難場所をARで表示することで、住民は安全な場所にスムーズに避難できます。また、災害時の被害状況をARで可視化することで、救援活動の効率化が期待できます。さらに、ARを活用した防災訓練は、よりリアルな体験を通じて防災意識を高めることができます。

場面⑤｜教育・学習

AR技術は、教育現場にも大きな変革をもたらしています。教科書の内容を立体的に表現するAR教材は、生徒の理解度を深めるのに役立ちます。また、実験や解剖学の学習をARで可視化することで、より効果的な学習体験を提供できます。語学学習においても、単語やフレーズをARで表示することで、現実世界とのつながりを意識しながら学習することができます。

場面⑥｜医療・ヘルスケア

AR技術は、医療現場においても様々な形で活用されています。医療従事者のトレーニングや手術のシミュレーションにARを活用することで、より安全で効果的な医療を提供することができます。また、患者への治療方法の説明にARを用いることで、視覚的に理解しやすくなり、治療への不安を軽減することができます。さらに、リハビリテーションにARゲームを導入することで、患者のモチベーション向上にもつながります。

場面⑦｜観光・エンターテインメント

https://palanar.com/cases/232

AR技術は、観光やエンターテインメントの分野でも新たな可能性を広げています。観光地の歴史や文化に関する情報をARで表示することで、観光客はより深くその場所の魅力を理解することができます。テーマパークのアトラクションにARを融合させることで、より没入感のある体験を提供できます。また、美術館や博物館の展示物にARで詳細な解説を提供することで、鑑賞体験をより豊かにすることができます。

ARを体験できるおすすめサービス6選

ここでは、ARを体験できるサービスについて解説していきます。

体験サービス	概要	主な機能
Pokémon GO	現実世界を舞台にしたモバイルゲーム。GPSを利用して現実世界にポケモンを出現させ、捕獲や対戦、交換が可能。	ポケモンの捕獲・対戦・交換、ジムバトル、ポケストップでのアイテム入手
TikTok	ショートムービープラットフォームにARフィルターを搭載。	顔認識ARフィルター、エフェクトのリアルタイム適用、ARフィルターの作成・共有機能
IKEA Place	家具小売大手のIKEAが提供するARアプリ。実際の部屋に家具を仮想配置し、購入前にイメージを確認できる。	家具の仮想配置、サイズ・色・デザインの比較検討、オンラインショッピングとの連携
Amazon	AmazonアプリにARビューモードを搭載。商品ページでAR表示に対応した商品を仮想空間に配置して確認できる。	家具・家電などの仮想配置、リップアイテムのバーチャルメイク、メイク後の色味確認、オンラインショッピングとの連携
Googleマップ	GoogleマップアプリにARナビゲーション機能を搭載。カメラを通して現実世界を映し、目的地までの経路や方向を矢印で表示。	ARナビゲーション、目的地までの経路・方向表示、歩行者ナビゲーション
ARお天気シミュレータ	スマホのカメラをかざすと、浸水被害を体験できる。水流や水の色に加え、10cm単位で浸水の深さを設定可能。	浸水被害のAR体験、水流・水の色・浸水深さの設定、浸水リスクのシミュレーション

体験サービス①｜Pokémon GO

世界中で大人気のモバイルゲーム「Pokémon GO」は、AR技術を活用して現実世界を舞台にしたポケモンの世界を体験できます。GPSを利用して現実世界にポケモンが出現し、プレイヤーは実際に街を歩き回ってポケモンを捕まえたり、ジムでバトルしたりすることができます。

体験サービス②｜TikTok

ショートムービープラットフォーム「TikTok」では、ARフィルターを使って動画をさらに楽しく、個性的にすることができます。

顔認識技術を活用したリアルタイムのエフェクトや、ユーザーが作成したオリジナルのARフィルターなど、様々な表現を楽しむことができます。

体験サービス③｜IKEAアプリ

家具小売大手のIKEAが提供する「IKEAアプリ」は、自宅の部屋を3Dスキャンし、AR技術を使って家具を自宅に仮想配置できるアプリです。

購入前に家具のサイズや色、デザインを実際の部屋で確認できるので、失敗のない家具選びをサポートします。

体験サービス④｜Amazon

AmazonアプリのARビューモードでは、商品を3Dモデルで表示し、実際の部屋に配置したイメージを確認できます。

家具や家電などのサイズ感が分かりやすいため、購入前の不安を解消できます。さらに、リップアイテムのバーチャルメイク機能も搭載されており、自分に似合う色を試すことができます。

▼関連リンク

Amazon「ARビュー」

体験サービス⑤｜Googleマップ

引用元：GoogleマップのARナビ「Live View」がβになり、iOSでも利用可能に – ITmedia NEWS

GoogleマップのARナビゲーション機能は、スマートフォンのカメラを通して現実世界を映し出し、目的地までの経路を矢印で表示します。

直感的に目的地まで案内してくれるため、初めての場所でも迷う心配がありません。

体験サービス⑥｜ARお天気シミュレータ

ARお天気シミュレータは、スマートフォンのカメラをかざすだけで、未来の天気や災害、季節イベントを疑似体験できるアプリです。

水流や水の色、浸水の深さを設定できるため、防災意識を高めるための教材としても活用できます。

▼関連リンク

「ARお天気シミュレーター」｜App Store

ARを作成できるおすすめサービス4選

続いては、ARを作成できるツールをご紹介します。今回紹介するのは、基本的にノーコードで作成できるツールなので、気軽に試してみることをおすすめします。

作成サービス	特徴
palanAR	豊富なテンプレート、ドラッグ＆ドロップ操作で簡単にARコンテンツ作成。無料プランあり。
LESSAR	アプリ不要のWebAR。ブラウザ上でARコンテンツの作成と体験が可能。
COCOAR	アプリ型のARサービス。10年以上の提供実績、7,100社以上の導入実績。シンプルな設計でフリープランは無料。
Planeter	3Dモデル、写真、動画、イラストなどをアップロードするだけでAR化。様々な業種で活用可能。